宇都宮大学、1人乗りロボットの公道実験 つくばの特区で
宇都宮大学は7日、学生が開発した1人乗りの移動ロボットの実証実験を開始した。建物の鉄骨などによって生じる地磁気の乱れを目印に、ロボットが位置を確認しながら走行する磁気ナビゲーションシステムを採用。カメラで障害物などを認識する自動移動ロボットなどに比べ生産コストを大幅に削減できるのが特長だ。将来は農作物の収穫や商業施設内の運搬用などで利用を想定している。
開発した搭乗型移動ロボット「nena」は全長1.3メートル、幅70センチメートル、高さ70センチメートル。前輪2輪駆動で後輪は1つしかない。鉛電池を搭載し、1回の充電で4時間程度稼働する。最高速度は時速6キロメートル。実証実験は茨城県つくば市のモビリティロボット実験特区で行い、つくば市から車両ナンバーをこのほど取得した。
車体の前面に建物など障害物と距離を測定するレーザーセンサーを搭載。移動ロボットが1.5メートル以内に近づくと自動的に止まる仕組みだ。
独自開発の磁気ナビゲーションシステムは、鉄製の構造物によって地磁気の乱れが生じることに着目。ビルや信号機、マンホールなど街中にある各種構造物ごとに地磁気の乱れ方が異なるため、ロボットはその違いを道しるべにしながら自律走行する。同システムは世界的にも珍しい技術といい、宇都宮大は同システム関連の特許4件を出願している。
実証実験ではまず、ロボットを搭乗者が操作しながら、特区内の磁気情報を収集。これをもとに特区内の磁気マップを作製する。同マップに沿って、自律走行技術を実証する。
同大は2009年からつくば市で開いている移動ロボットの競技大会「つくばチャレンジ」に参加。1キロメートルを超える完全自律走行に成功した実績を持つ。ただ、公道での走行実績が少ないため、今後は特区で実証実験を重ね、自律走行技術の向上を目指す。
特区内ではセグウェイジャパンやトヨタ自動車、日立製作所などが移動ロボットの実験を行っているが、大学が実施するのは今回が初めて。宇都宮大の尾崎功一教授は「初年度は10キロメートル以上走行し、安全性を確認したい」としている。