2019年2月16日(土)

「法人減税でも税収増」議論 経済財政諮問会議

2014/2/21付
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政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は20日、法人税の実効税率を下げて税収が増えた海外の事例を議論した。民間議員は日本でも「アベノミクスの成果による税収増の還元などによって(アジア主要国並みの)25%の水準に引き下げていくべきだ」と提言。一方、財務省などは税率引き下げで税収が増えるかには懐疑的だ。6月の成長戦略づくりに向けた攻防が始まった。

安倍首相の指示を踏まえ、伊藤元重東大教授ら民間議員が報告をまとめた。英国、ドイツ、韓国を対象に1995年(韓国は2000年)から12年までの法人税収を分析。3カ国とも法人税率を下げても税収が増えた。

英国と韓国では経済成長で企業収益が増えたのが税収増の主因。英国は税率を9%下げたが、税収は年平均4.8%増えた。このうち4.5%分が経済成長による要因だった。韓国は税率を6.6%下げたが、税収は8.4%増で、成長要因が6.5%分を占めた。

税率を24.9%も下げたドイツでも税収が5.6%伸びた。成長要因は2.2%分にとどまる一方、減価償却制度の見直しなどで納税対象となる企業を増やす「課税ベースの拡大」による影響が6.3%と大きかった。

一方、デフレが続いた日本は、95年から11年までに税率を10.4%下げても、税収は1.7%減った。赤字企業が増えたことで課税ベースが縮小したほか、成長要因もマイナスに働いた。

日本も英独韓と同じように税率下げを税収増に結びつけるには、アベノミクスの効果を持続させる成長戦略の実効性が問われる。民間議員からは好循環をつくる手始めとして、まず足元の法人税収が増えた分を「アベノミクスによる増収分として減税の財源にしてはどうか」という案も出た。

ただ、税率引き下げが税収増につながるとの見方には懐疑的な意見もある。麻生太郎財務相は今回の分析に、税率を下げずに法人税収が増えた米国やフランスが含まれていないことを指摘した。さらに「財政健全化の目標との関係をどう整理するのか」と強調した。

黒田東彦日銀総裁も「(法人税率)引き下げを実現するには、社会保障制度の改革と税制の抜本的な見直しが必要だ」とし、減税先行では財政健全化目標の達成に懸念が出てくると指摘した。

会議終了後の記者会見で甘利明経済財政・再生相は「経済成長と財政再建を同時に解決する方向に資する法人税の取り扱いがあれば、ということで議論を進めていきたい」と述べた。

今後、政府の税制調査会や与党の税制協議会でも法人実効税率の引き下げに向けた議論が本格化する。政府税調では企業の競争力向上には実効税率の引き下げが必要との意見が大勢を占める。

一方、与党や財務省は財源確保の難しさを理由に慎重だ。自民党税調の野田毅会長は「当面は税率を下げるよりデフレ脱却のための戦略的な対応の方が大事だ」との立場。6月に予定する成長戦略のとりまとめに向けて、法人実効税率を巡る政府、与党、民間の綱引きが熱を帯びそうだ。

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