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法人税率、アジアも意識 首相が減税先行示唆

諮問会議で議論スタート

国際水準と比べ割高な法人実効税率の引き下げに向けた政府内の議論が20日の経済財政諮問会議で始まった。安倍晋三首相は減税の当面の財源確保にはこだわらない考えを示唆。民間議員も拠点誘致を競うアジア主要国をにらみ、税率を2014年度より10%低い25%程度にすべきだと踏み込んだ。法人税率見直しは6月にまとめる新成長戦略の要となる。2年目の安倍政権の本気度が試される。

「10年、20年先を見る場合、引き下げは避けて通れない」

20日の諮問会議では税率下げを進めるべきとの発言が相次いだ。日本の法人実効税率(東京都)は14年度、35.64%まで下がる。約40%の米国よりは5ポイント程度低いが、グローバル企業のアジア拠点誘致を競う韓国(24.2%)や中国(25%)にも大きく水をあけられている。

景気回復が進んだ13年、日本の株式市場には15兆円の海外マネーが流れ込んだ。だが、拠点設立や企業買収など長く日本に資金を投じる直接投資の残高は13年9月末時点で18.1兆円。12年末比0.3兆円増にとどまる。先進国ではなく、競争相手であるアジア主要国との比較で税率を決め、立地競争力を底上げすべきだと民間議員は主張した。

ハードルはかなり高い。14年度予算でみると法人税1%当たりの税収は4700億円。10%分なら約5兆円、国の税収全体(約50兆円)の1割が減る計算だ。

税収減を補う案として、特定業界の税負担を減らす「租税特別措置」見直しが浮上する。63年前に始まった船舶の特別償却制度(357億円)など長く延命してきた措置も多いが、海運業界は「国際競争力維持には特別償却の維持が必要」と反発する。そもそも租税特別措置は総額9千億円程度。財源捻出には限りがある。

「税制改革は従来レベニューニュートラル(増減税同額)という考え方がとられてきたが、経済のグローバル化が進む中でこの考え方で対応していくことがよいのかどうか」。安倍首相は20日の諮問会議でこう表明し、短期的な財源確保にこだわらない姿勢を示した。

法人減税で経済が活性化すれば、中長期的には税収が増え減税分を穴埋めできる可能性もある。安倍首相は、税率下げで先行した海外主要国の事例をもとに、国内総生産(GDP)や税収にどのような影響が出たか検証するよう関係閣僚に指示した。

欧州諸国などを対象にした研究では、税率を下げても税収が増える「法人税パラドックス」も報告されている。安倍首相の念頭にはこうした事例があるとみられる。

自民党政権下の税制改正作業は、秋から始まる党税制調査会が主導し年末に翌年度の税制改正大綱を決める慣習が長く続いてきた。安倍政権下の昨年は官邸主導で復興特別法人税の前倒し廃止に道筋をつけた。

法人減税が6月の成長戦略の柱になれば、15年度税制改正で一定の結論が出る可能性がある。ただ、財務省は財源なき法人減税に慎重。自民党税調も「お手並み拝見」と、官邸主導の法人税制見直し論には冷めた態度だ。昨年と同じ展開になるかはまだ見通しにくい段階だ。

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