米エネルギー革新、息吹再び 新事業の創出促す
編集委員 安藤淳

(1/2ページ)
2014/1/4 7:00
保存
共有
印刷
その他

中国に次ぐ世界第2位の温暖化ガス排出国である米国。再生可能エネルギーや省エネの技術を新産業につなげる「グリーン・ニューディール」は失速した印象を受ける。しかしオバマ大統領は6月に地球環境対策などをまとめた新たな「クライメート・アクション・プラン」(気候行動計画)を発表。州単位の地道な取り組みも広がり、研究開発は再び活発化の兆しがある。

■研究開発6拠点を整備

エネルギー・イノベーション・ハブの整備が進む
名称採択
時期
参加機関目標
軽水炉先端シミュレーション・コンソーシアム2010年
5月
オークリッジ国立研究所など10機関原子炉の安全性、経済性などを予測評価できるモデリング、シミュレーション技術の開発
人工光合成共同センター2010年
7月
カリフォルニア工科大学など7機関作物の光合成の10倍以上の効率で太陽光、水、炭素から燃料を生成する方法を開発
高効率エネルギー建物ハブ2010年
8月
ペンシルベニア州立大学など27機関2020年までに商業用建物のエネルギー消費を20%削減する手法を開発
エネルギー貯蔵研究共同センター2012年
11月
アルゴンヌ国立研究所など14機関現行のリチウムイオン電池を基準に5年内にエネルギー貯蔵性能を5倍に、コストを5分の1にする
戦略材料研究所2013年
1月
エイムズ研究所など18機関希土類元素に代表されるエネルギー分野の戦略材料の安定供給を可能にする
未定(エネルギー伝送関連)2014会計年度を予定未定未定

(注)科学技術振興機構研究開発戦略センターの資料をもとに作成

自動車の厳しい燃費規制で知られるカリフォルニア州。2020年までに発電量の3分の1を再生エネにすると定め、既に20%を超えた。人口5千人のウエスト・ビレッジ地区では太陽光発電や省エネの促進により、電力需要を事実上すべて自前で賄う「ネット・ゼロ・エネルギー」を実現しているという。

同州大気資源委員会の委員で、燃費規制づくりを主導してきた米カリフォルニア大学デービス校のダニエル・スパーリング教授は「州や自治体の環境対策は大きく前進した」と説明する。電気自動車の購入者に対し、1台あたり2500~5000ドル(約26万~52万円)の税の優遇措置を導入した州もある。

米エネルギー省の研究開発費も減っていない。科学技術振興機構研究開発戦略センター(CRDS)のまとめでは、研究開発を担う科学局、エネルギー効率・再生可能エネルギー局など6局の合計予算は年80億ドルを超える水準で推移。14会計年度(13年10月~14年9月)は前年度比約17%増の約102億ドルを見込む。

なかでも力を入れているのは基礎、応用から産業化のための研究開発までを集約したエネルギー・イノベーション・ハブだ。原爆開発につながったマンハッタン計画や、通信・計算技術の開発をけん引したAT&Tベル研究所をモデルに6拠点の整備を進める。

ペンシルベニア州の「高効率エネルギー建物ハブ」やカリフォルニア州の「人工光合成共同センター」などがある。産官学の研究者が共同施設で新技術の実証試験やシステム構築の研究、経済性評価などをする。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]