2018年11月14日(水)

浮体式「日の丸」風力、荒波越え稼働 難所で生きる技術

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2013/11/17 7:00
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福島県沖で11日、運転を始めた浮体式の洋上風力発電設備。国の委託を受け、日立製作所など10社と東京大学が事業を手掛けた。浮体式の洋上風力は世界的にも珍しい。洋上風力が普及する欧州と違い、大陸棚の広くない日本の近海での発電は難しいと言われた。南極や海底油田など修羅場で鍛えた日本企業の技術を活用し、荒波に挑む。日の丸風力に風は吹くのか。

福島沖に設置された浮体式洋上風力発電所の風車(11月11日)=共同

福島沖に設置された浮体式洋上風力発電所の風車(11月11日)=共同

「福島沖は寒流と暖流がぶつかる難所。浮かぶ発電設備を作るなんて世界の技術者がビックリしている」(経済産業省幹部)。実際、11日の報道陣らによる現地見学会は、波が高いため中止となった。

東京電力の福島第1原発の沖合。発電能力2千キロワットの風力発電機のほかにも、ぽつんと浮く設備がある。風車で作った電気をまとめて陸上に送る変電設備だ。来年以降に設置する2基の風車の接続も想定。6万6千ボルトの高圧に対応する変電設備が海に浮かぶのは世界でも例がない。

鉄心に2つのコイルを巻き付けるのが変電設備の基本的な仕組み。重要なのは、2つのコイルが直接電気のやりとりをしない「絶縁」を保つことだ。陸上の変電設備ではコイルに電気を通さない紙を巻き付けたうえ、コイルと鉄心を油に浸すことで絶縁を保っている。

■日立の洋上変電=南極観測船

しかし、海上で絶えず揺れにさらされると、コイルに巻かれた紙がこすれて破れたり、油面が傾いて油に浸らないコイルと鉄心が出たりして、絶縁を保てなくなる恐れがある。日立には揺れる環境で利用するノウハウがあった。2007年に納入した南極観測船「しらせ」の変電設備だ。

「『揺れない』『ずれない』『油が切れない』という発想は『しらせ』と一緒」。高田俊幸風力発電推進部長は話す。揺れによって鉄心とコイルがずれることが無いように複数のボルトで固定。油を入れるタンクの高さを上げ、絶縁油は1~2割増やす。これで浮体が傾いた状態でも変電設備は油に浸っている。「揺れに対する技術の集大成」(電源システム部の横山和孝主任技師)が世界初の設備を支える。

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