捕り過ぎず・汚さず…海に優しい養殖、日本が技術で先導
日本総合研究所理事 足達英一郎

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2013/11/9 7:00
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9月、沿岸の未成魚も含むクロマグロの漁獲制限強化が決まった。日本近海を含む北太平洋海域で、従来から規制対象だった沖合の巻き網漁に加え、沿岸漁業でも産卵前の未成魚の漁獲を抑えるという内容だ。

■塩害や薬品の大量投下が問題に

水産資源の枯渇は、海洋の環境問題のひとつでもある。これまで海洋の環境問題と言えば、水質汚染や海洋酸性化が連想されてきたが、水産物の捕り過ぎが生態系を破壊し、生物多様性を毀損させる懸念ももはや看過できない。

国連食糧農業機関(FAO)によれば、世界の海面漁獲量は1950年には約1700万トンであったのが、60年後の2010年にはほぼ4倍に増えた。これは、世界人口の約25億人(50年)から約70億人(10年)という増加テンポを大きく上回っている。

水産資源の枯渇に対し、有力な解決策と位置付けられるのが「養殖」だ。10年の世界の養殖業生産量は6000万トン(藻類と非食用向け生産物を除く)と海面漁獲量に肩を並べる規模にまで拡大した。世界の食用向け魚類生産への養殖業の寄与は1980年に9%に過ぎなかったのが、10年には47%になっている。

冒頭のクロマグロでは、人工ふ化させた稚魚から育てる「完全養殖」にも目途が立ってきた。その先頭を走るのが日本で、14年の流通量は今年の2倍以上に増える見通しだと伝えられている。

しかし、養殖が別の環境負荷を生じさせる副作用も無視できない。過去の代表例はエビだ。1980年代からアジアで広がったエビの非粗放養殖では、養殖池を造るために広大なマングローブ林が失われた。内陸部では養殖池周辺の塩害も多発した。また、高密度養殖のために、生魚を犠牲にした人工飼料が量産されるとともに、抗生物質やその他の薬品も大量に投下された。これらは新たな環境問題を引き起こすことになった。

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