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水銀規制の「水俣条約」採択、途上国の体制作りに課題

水俣病の原因となった水銀の使用を国際的に規制する「水銀に関する水俣条約」が10日、熊本市で開催中の外交会議で採択された。参加141カ国・地域のうち、議長国の日本や最大の排出国の中国を含む87カ国・地域が条約に署名した。水銀の被害根絶に向けた第一歩だが、国連がめざす2016年の条約発効には、途上国での法整備など早期の体制づくりが課題となる。

会議を主催する国連環境計画(UNEP)のシュタイナー事務局長は会議後の記者会見で、「水俣条約が国際的な協力につながるはずだ」と述べた。条約に署名した岸田文雄外相も「各国の実情に応じた日本ならではの支援をする」と強調。政府開発援助(ODA)や国際協力機構(JICA)での人材育成などを通じて途上国の汚染対策を支援する考えだ。

水銀による健康被害や環境汚染は途上国で深刻だ。UNEPによれば、大気に排出された水銀は10年に1960トンにのぼり、アジアが49%、アフリカが17%、中南米が15%を占める。

条約の批准に向けて各国の体制強化が必要だが課題も多い。中国ではアセトアルデヒドなどの製造工程の水銀使用が汚染を引き起こす。条約では大気や水、土壌への水銀の排出削減を定めたが、削減技術の導入には新たな費用負担が発生する。

ブラジルやタンザニアなど小規模の金採掘を手がける国では製錬の水銀による周辺住民への被害が報告されている。

条約は、貧困層の生活を支える金採掘を「禁止」とはせず、水銀の排出削減に努めるよう求めた。今後は水銀の使用を減らしながら、金採掘やそれに代わる産業育成にどう取り組んでいくのかが試される。被害軽減の施策も必要だ。

水俣病を契機に対策が進んだ日本でも、早期批准に向けた整備が求められている。条約が発効すれば、水銀の輸出に規制がかかるため、国内で安全に管理しなければならない。15年度中にも廃棄物処理法施行令を改め、水銀を廃棄物に指定し、保管や処分の仕組みを整える方針だ。

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