年内に2段階目の交渉に 中韓FTA、90%で関税撤廃へ
【ソウル=加藤宏一】韓国政府は6日、交渉中の中韓自由貿易協定(FTA)について、貿易品目の90%を関税撤廃対象とすることで合意したことを明らかにした。北朝鮮との協力事業である開城(ケソン)工業団地で生産された製品も対象に入る見通し。今後は具体的な対象品目を話し合う。日本は日中韓FTAで90%以上の自由化を目指しており、今後の3カ国のFTA交渉にも影響を与えそうだ。
3~5日に中国で開かれた第7回会合の内容を韓国政府が6日、発表した。自由化はFTA締結後に2010年代に即時撤廃、10~20年代に段階的に撤廃の2段階で進める。韓国は農水産物、中国は一部の機械製品を自由化対象から除外したい考えで、今後はこれらの扱いが焦点。米韓FTAでは品目の99.8%が自由化対象で、中韓FTAは相対的に低い水準にとどまっている。
韓国政府の説明によると、中国側が当初、消極的だった知的財産権、電子商取引、環境などの分野も今後の交渉対象に含まれる。また政府間の協力により、透明性の高い競争環境の確保に向けた施策も推進するという。
中韓は年内に2段階目の交渉に移る。次回の協議では開城団地の生産品の扱いや、非関税障壁、原産地、通関の体制などを話し合う。エネルギーや資源、鉄鋼、科学技術などのほか、食糧安保などの農水産物でも経済協力を進める方針で、これらの協力のあり方についても協議する。
韓国にとって中国は輸出総額の25%を占める最大の貿易相手。韓国では最近、米韓FTAを活用して、トヨタ自動車などが米国製の自動車を韓国に輸出するなど、輸入車の販売が伸びており、中韓FTAの発効後に自動車分野についても中国からの輸入が拡大するとの警戒が広がっている。
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