景気回復「12年末から」 内閣府委員が見解
内閣府は21日、景気拡大が終わった時期を示す「山」が2012年4月だったと暫定的に判定した。その後の景気後退は12年11月に終わり、12月から回復局面に転じたとの見方が多い。後退は7カ月程度と異例の短期間となった公算が大きい。内閣府が同日に開いた景気動向指数研究会でも、委員の一人から景気後退が底入れする「谷」は昨年11月だったとの見方を示す発言が出た。
仮に「谷」を12年11月とした場合、景気の後退期間は7カ月となり、1951年6~10月の後退期に次ぐ戦後2番目の短さとなる。データが不十分なため今回は「谷」は判定せず、来年春ごろをめどに研究会を開いて判定する見通しだ。
判定には複数の経済指標をもとにして作る「ヒストリカルDI」を使う。同DIは12年5月から同年11月の間、判断の分かれ目となる50%を下回った後、12月から再び50%を上回っている。この間の実質国内総生産(GDP)の動きも12年4~6月期、7~9月期は2期連続でマイナス成長だったが、10~12月期にプラス成長に転じた。
昨年末から景気回復をけん引したのは急速に増加した個人消費だ。円安・株高が進み、その資産効果を支えに消費が勢いづいた。足元では消費増が生産増を呼び、企業の投資が増えるという好循環ができつつある。
研究会では多くの委員が足元は消費主導で景気拡張局面にあるとの見方を示した。研究会座長の吉川洋東大大学院教授は「消費がリードする景気回復は日本経済の動きとしてはやや異例のパターン」と述べた。
先行きも内需に支えられて堅調な推移が続く公算が大きい。来年4月の消費増税を前に駆け込み需要が出る住宅の建設もこれから本格化するためだ。研究会では「海外景気の動向がリスク」との指摘や「政府が規制改革をどこまでできるかが重要だ」との意見も出た。
研究会は21日、09年4月からの景気拡大のピークを示す景気の「山」を12年4月と暫定的に認定することを全員一致で決めた。景気回復期間は37カ月と過去の平均(36.2カ月)を上回り、戦後6番目の長さとなる。11年3月に発生した東日本大震災で生産などの落ち込みが見られたが、1カ月だけの例外的な流れであるため、後退とは見なされなかった。