2018年8月19日(日)

水素が変える日本の電力 発電の代替・補完も視野
日本総合研究所理事 足達英一郎

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2013/7/31 7:00
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 水素社会を巡る動きが再び活発化してきた感がある。6月に発表された「日本再興戦略」のなかで、「水素供給インフラ導入支援、燃料電池自動車・水素インフラに係る規制の見直し」という項目が立てられ、「2015年の燃料電池車の市場投入に向けて、燃料電池自動車や水素インフラに係る規制を見直すとともに、水素ステーションの整備を支援することにより、世界最速の普及を目指す」という一文が明記された。

■燃料電池車以外の活用にも注目

水素エネルギー社会の構築に
向けた国の主要施策(2012年度)
内 容予 算
(百万円)
民生用燃料電池の導入支援補助金9000
固体高分子形燃料電池の実用化推進技術開発事業3500
固体酸化物形燃料電池システム要素技術開発事業618
固体酸化物形燃料電池システムを用いた産業用発電プラント研究開発事業900
水素製造・輸送・貯蔵システム等技術開発1500
水素先端科学基礎研究事業800
地域水素供給インフラ技術・社会実証3006
高効率水素製造等技術開発852

出所:エネルギー白書2013から作成

 実際、自動車メーカーは、15年には充填時間3分で700キロメートルの走行が可能なモデルを量産できるとの見通しを示している。6月26日には自民党議員による「FCV(燃料電池車)を中心とした水素社会実現を促進する研究会」も設立された。

 ここで重要なのは、水素燃料電池で自動車を動かすというシナリオだけに光を当てることではない。水素を使った発電で、既存の化石燃料や原子力による発電を代替、補完することの可能性も検討の視野に入れておくことだろう。

 これまで、将来の夢の技術として水素社会が語られるたびに、課題として挙げられたのは「通常、自然には広く存在しない水素という物質をどう安定的かつ多量に確保するか」であった。水素を作ることは理論的には可能でも、化石燃料を原料とし、その改質には熱を必要とする。さらに作った水素を運搬するにも、圧縮や液化といったエネルギー投入と、大がかりな材料や設備が必要というのが定説となっていたからだ。

 水素を作って運ぶために必要な一連のエネルギーを、そのまま動力や電力にして使った方が無駄がないというのが大勢の見方だったのだ。

 しかし、ここにきて意欲的な実証に駒を進める事例も出てきた。天然ガス、随伴ガス、石油、石炭などに由来する炭化水素から水素を適地で製造し、トルエンと水素化反応させたあと、電気を必要とする地点まで輸送・貯蔵して、脱水素反応を経て発電に用いるという構想である。いわば「輸入水素」を活用しようというアイデアだ。

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