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海外旅行・山岳保険、補償どこまで安心か

夏休みに海外旅行や登山を計画している人は多いだろう。その際、チェックしておきたいのが保険。病気や事故、遭難など不測の事態への備えは必要だ。ただし、補償や販売形態が様々な上、クレジットカードの付帯サービスなどもある。それぞれの特徴をつかみ、自分に合った補償を選びたい。

まず、海外旅行はどれくらいリスクがあるかを把握しておこう。ジェイアイ傷害火災保険の2012年度の調査によると、同社の海外旅行保険契約者のうち、3.9%(26人に1人)は何らかのトラブルに遭っている。特に多いのが病気やケガの治療費。現地で手術が必要になるケースも決して珍しくはないようだ。

それだけにファイナンシャルプランナーの柳沢美由紀さんは「海外で病院にかかると、思わぬ費用がかかることがある。海外旅行保険に入った方が安心」と話す。

治療費は安い方に

病気やケガは実は海外旅行保険に入らなくても、国内と同様に健康保険で治療の負担を軽くできる。「海外療養費」という制度で、医療費を支払った現地の病院から、治療内容と医療費の証明書をもらい、帰国後に加入している健康保険の窓口に申請すれば、費用の一部が給付される。ただ、問題はそれだけでカバーするのが難しいことだ。

国内なら保険が適用される治療費の3割を負担すればよい。だが、海外での治療費は、現地と国内で同じ治療を受けたときの費用を比べ、安い方を基準に費用の7割を健康保険がカバーする。例えば、米国で虫垂炎の手術を受けた場合、治療と入院費用で250万円ほどかかることがある。ところが、日本では50万円程度で済むため、健康保険ではカバーしきれない。結果として200万円以上を本人が負担することになる。

海外旅行保険に入れば、これらの費用をすべてカバーできる上、輸送用のチャーター機など交通費、家族が駆けつける際の渡航費など治療費以外の費用の支給も受けられることが多い。加えて、病気やケガに次いで被害が多い携行品の損害も補償される。旅行中に持ち歩いたスーツケースやカメラなどが盗難にあったり、破損したりした場合も損害を抑えられる。他人に被害を与えた際の賠償責任についても補償されることが多い。

保険料や補償金額は様々だが、損保ジャパンのネット保険「off!(オフ)」では、「治療費や傷害死亡・後遺障害、救援者費用ともに上限1000万円のプランを選ぶ人が多い」という。その保険料は7日間、ハワイに旅行する場合で2930円。万が一の時の費用を考えれば、負担はさほど大きくない。

中には「クレジットカードに付帯した保険があるから安心」と考えている人もいるだろう。付帯するカードが非常に多いからだ。ただし、保険が適用される条件などには注意が必要だ。

一部の付帯旅行保険は、旅行のツアー料金や空港までの交通費などを当該のカードで支払った場合のみに限っている。うっかりカードを使い忘れると、その旅行で被害にあっても補償を受けられない。

補償金額もカードのタイプで異なるので、確認しておこう。「ゴールドカード」などグレードの高いものは補償上限が300万円程度のものもあるが、三菱UFJニコスやJCBの一般カードは、治療費の上限が100万円。補償額が足りないと感じるなら、別に海外旅行保険に加入するのも選択肢だ。

後絶たぬ遭難事故

近年は登山ブームで山岳保険も注目されている。シニアの愛好家が増える一方で、遭難事故は後を絶たない。2012年の国内の夏山登山遭難者は676人にのぼった。

山岳保険の特徴は遭難救助費用の補償に対応していることだ。山中で行方不明になり、大規模な救助隊が派遣されると、100万円以上の費用負担が生じることがある。それを山岳保険が補償する。

山岳保険は、傷害総合保険に遭難時の捜索救助費用の補償などを特約でつけるタイプが一般的。ハイキングや冬山登山など、登山のタイプで保険料や補償内容も異なる。

モンベル(大阪市)は、ハイキングなど一般登山用の「野外活動保険」と、ザイルなどを使う本格的な登はん向けの山岳保険を用意している。捜索救助費用に特化しているのは日本費用補償少額短期保険(長野県松本市)の「レスキュー費用保険」。年間5000円の保険料で、300万円まで補償する。

もっとも遭難理由で最も多い道迷いや、体調不良などは通常の山岳保険では補償されないこともある。保険に入る前に行く先の山や装備、体調などを保険会社に相談した方がいいだろう。(田中裕介)

[日本経済新聞夕刊2013年6月25日付]

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