狭山市、入曽駅周辺の市街地開発を断念 地権者の同意得られず

2013/6/5付
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埼玉県狭山市はこのほど、西武新宿線入曽駅東口地区の市街地開発事業の実施を当面断念する方針を決めた。道路など公共施設用地の確保のため地権者らが土地を提供し合う土地区画整理などについて、一部の大口地権者の同意を得られなかったのが理由。「情勢が変われば、再度整備を検討する」(都市整備部)としているが、事態改善の見通しは立っていない。

市街地開発事業の対象地区は入曽駅東口を中心とする約6.9ヘクタール。市は1995年に市街地開発の現地拠点として「入曽駅周辺開発事務所」を設置。08年から土地区画整理事業の手法により駅前広場や道路など公共施設を整備する計画を進めてきた。11年には地区内にあり少子化で児童が減少していた市立入間小学校を廃校にし跡地を開発用地に組み込んできた。

しかし、一部の大口地権者が区画整理による土地の利用価値の増大効果に消極的な見方をとり続けたため、計画は暗礁に乗り上げていた。その後、地区の北側約4ヘクタールの区域を対象に区画整理以外の手法(買収型の街路事業)により先行整備する構想も打ち出したが、同意を得られなかった。4月に仲川幸成市長自らが反対地権者らに理解を求めたが、賛意を得られず「やむを得ず現時点での事業実施を断念した」。

市は事務所の設置以降、事業関連の費用に小学校の解体工事を含め約3億円を支出。今年度予算には都市計画決定のための測量費などに約4000万円を計上した。

入曽駅東口地区について、市側は「朝夕、歩行者と車が入り乱れて危険な駅前や狭い道路など解決しなければならない問題が多く、今後も整備を市の重要な政策課題として位置付けていく」(宮崎勇・同事務所長)と説明するが、現時点での状況打開の可能性は低い。

土地区画整理は道路など公共施設用地を生むことで土地の経済価値を高めるとの考えに基づく。だが、近年は大都市圏でも郊外地域を中心に「人口減少や低成長を背景にした地価下落や宅地需要の低下傾向から住民の同意を取り付けるのが難しい地域が増えている」(大村謙二郎・筑波大学名誉教授)という。

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