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高知県、1000万円の返還不要資金を提供し起業家育成

高知県は起業支援を強化する。起業家らに最高1000万円を提供する事業を6月から始める。対象業種は問わず、同県内で新たに事業を立ち上げれば、支援金は返還不要にする。県の産業振興は工場誘致が中心だったが、地域に根付き成長する企業を育て、地域経済の活性化にもつなげたい考えだ。

原資1億円寄付

起業家らに最高1000万円を出す「こうちビジネスチャレンジ基金事業」は、整水器メーカーの日本トリムが寄付した1億円を原資にする。同社の森沢紳勝社長は寄付の理由を「停滞する高知県の産業を活性化するため、何か役に立ちたかった」と説明する。

森沢社長は同県土佐清水市出身。本社は大阪市にあるが、研究開発と製造の拠点は高知県内に置く。森沢社長は「2~3年で成果が出れば、さらに資金を積み増すことも検討する」と意欲的だ。

同基金では資金以外に県が弁護士や公認会計士らを紹介する。企業の要望に応じコンサルタントら事業に必要な専門家を県が全国から探してくることも検討している。

県外の起業希望者らには空き家情報の提供など、生活も支援する。事業の実施主体である高知県産業振興センターの大利賀臣理事長は「返還不要の資金と生活のサポートで、事業に専念できるようにする」と強調する。

起業家には同基金に加え、中山間地域にある市町村のシェアオフィスに入居する場合、賃料などを補助する制度も始めた。既存の県内事業者を含め、第二の創業や海外市場開拓を目指す場合に最高700万円を助成する制度もある。県産業振興推進部の中沢一真部長は「起業支援をここまでやるのは初めて」と話す。

出荷額は最下位

県が起業支援などに力を入れる背景には、高知県の産業低迷がある。2011年の製造品出荷額は4995億円と4年連続で全国最下位となった。他の四国3県の半分以下だ。東京など大都市から遠いことに加え、中山間地域が県の面積の93%を占めるなど、産業発展に不利な条件が影響している。

県はこれまで、大手の工場などを誘致して産業振興と雇用確保を目指してきた。進出企業には最高50億円を補助し、住民を雇用した場合は奨励金も出す。手厚い誘致策にもかかわらず、四国経済産業局によると12年の工場立地件数は3件と、前年から半減した。9~18件の立地があった3県を大きく下回る状況だ。

工場などの誘致が進まないことに加え、製造拠点を誘致できても企業の業績悪化や生産体制の変更などで撤退することがある。そこで、起業段階から手厚い支援をして育て、地域に根付く企業を増やすことに注力する。

ただ、事業を成功に導くのは容易ではない。ベンチャー企業育成の専門家であるベンチャーキャピタルでも、ベンチャー投資の成功は1割以下といわれる。短期的な成果を求めるのではなく、各企業の成功や失敗の事例を参考にしながら、中長期の視点で支援していくことが、高知県の産業活性化につながる。

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