/

裁判員制度、導入から4年 市民の葛藤なお

裁判員制度は21日で、2009年5月の導入から4年を迎える。最高裁がまとめた制度施行から今年2月末までのデータからは、着実に市民の司法参加が進んでいる現状の一方で、審理の長期化や法的な判断の難しさ、精神的な負担などの課題も見えてくる。超長期裁判を対象から外すなど、制度の見直し論も具体化してきた。

■無罪の約半数

裁判員裁判には市民になじみが薄い覚醒剤密輸事件も含まれ、無罪判決26件のうち、12件が覚醒剤関連。被告が「荷物が覚醒剤と知らなかった」と主張し、検察側が共犯者を特定できないまま無罪となるケースが多い。

今年4月には、覚醒剤密輸事件の裁判員裁判で無罪となったメキシコ人被告の逆転有罪が最高裁で初めて確定。大谷剛彦裁判官は補足意見で、「共謀」の解釈について「裁判員との共通の理解に向け、裁判官の説明努力が一層期待される」と強調した。

最高裁によると、これまでに裁判員裁判の判決を高裁が破棄し、地裁に審理を差し戻したのは5事件の6被告。仙台市の男性が行方不明となった遺体なき殺人事件で、最初の裁判員裁判の判決は懲役15年だったが、差し戻し後の2度目の裁判員裁判で今年2月に無期懲役が言い渡された。

■低下続く「理解しやすい」

最高裁のアンケートによると、12年に審理内容を「理解しやすかった」と答えた裁判員の割合は58.6%。09年(70.9%)、10年(63.1%)、11年(59.9%)と低下し続けている。

最高裁は「書面による審理が増えてきているため」と分析。裁判官、検察官、弁護士の間で、法廷での尋問を重視する口頭主義の理念が薄れつつあることが危惧される。

凄惨な殺人事件の証拠と向き合い、時には死刑判断も求められる裁判員の精神的負担にどう対応するかも依然として課題だ。

3月に死刑判決が出た強盗殺人事件で裁判員を務めた福島県の女性は、公判後に急性ストレス障害と診断され、事件の現場写真を見たことなどが原因だとして国家賠償請求訴訟を起こした。

■「重大事件こそ参加意義」

専門性の高い法的判断を求められる覚醒剤事件、死刑求刑が想定され精神的な負担が重い事件などを対象から外すべきだとの意見もある。しかし、法務省の検討会では「丁寧に説明すれば理解は可能」「重大事件こそ市民参加の意義がある」といった意見が多く、当面は現行の運用が続く見通しだ。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン