2019年6月19日(水)

東電再建、国の関与強化 首相「一歩前に出る」
下河辺会長に続投要請

2013/4/27付
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安倍晋三首相は26日、首相官邸で東京電力の下河辺和彦会長ら経営陣と会談した。東電の再建策を巡り「東電が直面する課題や福島の復興再生のために国も一歩前に出たい」と語り、国の関与を強める方針を表明した。福島第1原子力発電所の廃炉や被災地の除染を加速する具体策が課題となる。

安倍首相との会談を終え、記者の質問に答える東電の下河辺会長
(26日午後、首相官邸)

安倍首相との会談を終え、記者の質問に答える東電の下河辺会長
(26日午後、首相官邸)

会談には数土文夫JFEホールディングス相談役、小林喜光三菱ケミカルホールディングス社長らすべての社外取締役と広瀬直己社長も同席した。政府側から茂木敏充経済産業相が出席した。首相は下河辺氏ら社外取締役の全員に任期の6月以降の続投を求め「福島の再生は現政権の最優先課題。東電が民間企業としてきちんと再生することが重要」と語った。

社外取締役の全員が出たのには伏線がある。昨年11月にそろって記者会見し、賠償、除染、廃炉で国の追加支援を求めたからだ。

いまの政府の東電支援は賠償や除染の費用を一時的に肩代わりすることが柱だ。支援の上限は5兆円でいずれ底をつく。お金も将来国に返す必要がある。東電は賠償や除染が10兆円規模に膨らむとみて「一企業のみの努力では到底対応しきれない」と主張した。

ただ、昨年12月の政権交代後も政府の動きは鈍く、東電を所管する経済産業省から「いまのまま東電はあと5年は塩漬け」との声が出た。業を煮やしたのは東電の社外取締役だった。

「どうして政府は全く動かないんだ。これでは経営にならない」。取締役会のたびに東電の内部で突きあげた。再建策の柱である柏崎刈羽原発の再稼働もまったく見通しがつかない。複数の社外取締役が「6月で辞めたい。株主への責任を果たせない」と漏らし始めた。弁護士出身の下河辺会長は、経済人の成り手がみつからず「1年だけ」との条件で渋々会長を引き受けた経緯がある。

東電側は「会長らが集団で辞任しかねない」と政府に伝え続け、ようやく首相との会談が実現した。役員人事案を決める30日は目前。東電幹部は「政府も動いてくれるとの『心証』を社外取締役が得る必要があった」と話す。首相から「国が一歩前に出る」という言葉を引き出し、下河辺氏ら全員の続投が固まった。前民主党政権が選んだ経営陣を、自民党政権に認めてもらうためにも会談は欠かせなかった。

茂木経産相が「国の対応はこれから検討したい」と述べたように具体策はみえない。再建の道筋を示した総合特別事業計画は4月からの柏崎刈羽の再稼働が前提で、すでに行き詰まる。東電は今秋をメドに計画を改定し、政府の追加支援策、金融機関の協力、電気の再値上げ、柏崎刈羽の再稼働をセットで盛り込めないか検討している。国民負担が増す恐れもあるだけに難題ばかりだ。

特に福島第1原発の汚染水処理は急務だ。首相は「早期帰還を希望する福島の皆さんの大きな不安材料だ。しっかり対処してほしい」と求めた。政府・東電は5月中に汚染水問題への抜本対策をまとめ、6月に見直す廃炉作業の工程表に盛り込む方針。そのハードルを乗り越えて初めて、東電は総合計画の改定論議に移ることができる。

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