九州の企業、節電強化継続 今夏の数値目標は九電設けず

2013/4/27付
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九州電力は26日、管内の企業や家庭に今夏も節電を要請すると発表した。ただ電力の供給余力を示す「予備率」は最低でも安定供給の目安となる3%を確保する見通しであるため、節電幅の数値目標は設けない。深刻な供給不足が予想された昨年夏は需給逼迫時に、あらかじめ決めた地域や時間ごとに順番に送電を止める計画停電を準備したが、今夏は計画停電の準備自体を見送る方針だ。

節電を求めるのは7月1日~9月30日(8月13~15日を除く)の平日午前9時~午後8時。九電は特に、電力需要のピーク時間帯である午後1~5時の節電を要請した。昨年夏は同期間、2010年比10%以上の節電を要請したが、今夏は数値目標の設定を見送った。「今年は計画停電のスキームは考えていない」(平田宗充取締役常務執行役員)としている。

当初想定で予備率がマイナスだった昨年夏よりは需給が改善するものの、なお需給の逼迫リスクは残る。猛暑で気温がセ氏1度上昇した場合、電力需要が40万~50万キロワット上昇する。火力発電所がトラブルで停止した場合、供給力は最大70万キロワット減るという。

このため九電は、大口需要家に電力抑制を緊急に要請でき、供給停止も可能な「随時調整契約」を求めるなどの需給逼迫対策は今夏も進める。

九州電力は今夏の節電要請で数値目標を設けなかったが、九州では節電に取り組む姿勢を緩めない企業が多い。4月から企業向けの電気料金が平均11.94%上がるなど、各社ともエネルギーコストが業績の圧迫要因になっているためだ。ただ重油価格も上昇傾向にあり、昨年夏に利用した自家発電の稼働を見送る方針のメーカーもある。

電力料金の削減を狙い、節電を強化する企業が目立つ。自動車部品メーカーのユニプレス九州(福岡県みやこ町)は「コスト圧縮のため昨夏同様の厳しい節電に取り組まざるを得ない」(幹部)と気を引き締める。8月には2日間、工場稼働も点検工事もしない日を設け、使用電力量の削減につなげる。

工場の生産設備の省エネ型への交換を提案する「節電コンサルタント」事業を昨年始めたキューコーリース(福岡市)は、「節電要請が昨夏ほどではないにしろ、企業の節電へのニーズはなお根強い」と指摘する。

同社は近く、節電支援事業で福岡県や佐賀県の製造業や小売業計3社と契約を結ぶ予定。「電気料金の引き上げで、今後も引き合いが増える」とみている。

自治体も昨年夏並みの節電対策を実施する。福岡県は県庁でエレベーターの間引き運転や、昼休み中の消灯などを今年も徹底。福岡市も市役所の壁面緑化を実施したり、毎週金曜日をノー残業デーにしたりするなど節電対策を今年も続ける。

ただ、昨年夏の節電対策が過度の負担になっていたのは否めない。節電への取り組みを一部見直す企業もみられる。

クリーンルームを24時間稼働させる必要がある半導体メーカー。ソニーセミコンダクタ(熊本県菊陽町)は昨年夏に利用した自家発電設備の稼働を見送る方針だ。「重油価格が上昇傾向にあるだけに、(数値目標見送りは)ありがたい」という。

即席麺のマルタイは昨夏、工場で月曜日の操業を停止する代わりに、電力需要が少ない土曜日に稼働する対策を取ったが、今年は現段階では平日に操業する通常体制に戻す方向で検討している。

昨年夏、運行本数の削減などを迫られた鉄道会社からは安堵の声が聞かれる。昨年、鹿児島本線の一部特急や普通列車の運行本数を減らす間引き運転を実施した九州旅客鉄道(JR九州)は「利用者から特にクレームは出なかったが、列車運行に手を出すのはあくまで非常手段」としている。4~6両編成の列車の一部で車両数を減らした西日本鉄道も「事務所での節電徹底など、鉄道利用者に負担をかけない範囲で節電に取り組む」としており、今夏の車両数削減などには慎重な姿勢を示している。

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