ソニー、テレビ黒字化へ賭け 売れ筋の40型未満に大ナタ

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2013/4/12 7:00
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リビングの中央に置かれる大型モデルに絞り込み、画質や音質にさらに磨きをかけるという「王道」で黒字化を目指すソニー。とはいえ、この戦略が奏功するかは未知数だ。

■不良在庫は既に解消、むしろ機会損失の懸念も

アナログ放送が完全停波した11年7月以降、テレビの売れ行きは長らく低迷し、メーカーも小売店も在庫の山を抱え苦しんだ。仮にその状況が今も続いているならば、モデル数の絞り込みも有効だ。しかし実際には、メーカー各社が競うように生産調整と在庫処分を進めた結果、直近では薄型テレビの在庫が異常なまでに少なくなっているのだ。

生産動態統計によると、薄型テレビの国内在庫台数は直近の13年1月末で約11万台。直近のピークだった11年2月の約157万台に比べ1ケタ少ない。集計方式が変わっているため単純比較できないが、家電エコポイント半減前の駆け込み需要で店頭からテレビの在庫が払底した10年11月でさえ、テレビの在庫は約70万台もあった。各社の新製品が出そろう前の端境期という事情もあるが、家電量販店の店頭では従来モデルの在庫も底をつきつつある。ひところ各社の経営を圧迫した不良在庫の山はとうに解消しており、かえって販売機会の損失さえ懸念される水準だ。

大型のハイエンド機に特化する戦略の成否も予断を許さない。黒字化のカギを握る新製品の予想実売価格は、55型の4Kモデルで50万円、ハイビジョンモデルも28万~32万円と高め。この価格水準で堅調に売り上げを稼げればよいが、売り上げが思うように伸びなければ、値下げにより利益率が圧縮され、黒字化へのハードルがその分上がることも考えられる。50~60型台は家庭内での置き場所が限られることも懸念材料だ。

40型未満のモデルも、わずか1モデルでどこまでソニーの存在感を維持できるかは疑問が残る。40型未満は、金額ベースでは薄型テレビ全体の4割程度まで縮小したとはいえ、台数ベースでは依然3分の2を占める。40型未満を含むフルラインアップを維持する競合他社に対し、売れ筋モデルの競争から"脱落"したソニーがじり貧になる可能性もある。

今回の最大の特徴としている4Kも、対応の放送や映像ソフト、動画配信は現時点でほとんどなく、ニーズの掘り起こしもこれからだ。今村執行役員は「『もっといい音で』『もっときれいな映像で』など、購入者の潜在ニーズはまだ多くある」と強調し、従来のブラビアで採ってきた高付加価値路線の正当さを訴えるが、一歩間違えば販売不振から脱却できず、"変われないソニー"の象徴となってしまう危険もはらんでいる。

(電子報道部 金子寛人)

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