いじめで同級生に賠償命令 名古屋地裁「母親にも責任」
名古屋市立中学校の元男子生徒(16)が、いじめが原因で精神的苦痛を受け、うつ状態になったとして、当時の男子同級生(16)と母親に計220万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁(片田信宏裁判長)は3日までに、いじめを認定して2人に33万円の支払いを命じた。母親の監督義務違反も認定した。判決は3月29日。
判決によると、元生徒は中学3年だった2011年5~9月、同級生から「むかつくから殺す」と脅されたり、首をつかまれ腹を殴られたりした。修学旅行先で「金を出せ」と言われたこともあった。
判決理由で片田裁判長は「原告は高校受験を控えた時期に、肉体的苦痛だけでなく、うつ状態の診断を受けるほどの精神的苦痛を継続的に受けた」と認定。同級生の母親についても「学校から連絡を受けた後も具体的な注意をせず、漫然と過ごしていた」と監督義務違反を認めた。
元生徒の母親が11年9月、学校に相談。同級生側が協議に応じなかったため同12月に名古屋簡裁に調停を申し立てた。同級生側は出頭せず、生徒側が昨年2月に提訴した。
判決を受け、原告側代理人の高森裕司弁護士は取材に「やむを得ず訴訟になったが、証言など数少ない証拠でいじめが認められたのは意義がある」と語った。〔共同〕