沖縄県、海洋温度差発電を実験 久米島で
沖縄県は2日、年間を通じて水温の変動が小さい海洋深層水を使った海洋温度差発電の実証実験を15日に始めると発表した。海洋深層水の取水管がある久米島(同県久米島町)に発電所を建設。佐賀大学などと連携し、2014年度末まで季節や天候、海水温の変化に伴う発電量の変動などを調査する。
発電量が日照に左右される太陽光発電などと異なり、出力が安定する特徴がある。家庭や工場への電力供給手段の一つとして、商用化に向けた技術を検証する。
海洋温度差発電は「熱媒体」という特殊な液体を、セ氏25~30度と温かい沖縄の海水で気化させ、蒸気タービン発電機を駆動させる。熱媒体は水深600メートルから取水した同8~10度の冷たい深層水で冷却し、再び液体に戻す。熱媒体は代替フロンを加圧し、沸点を同約24度に調整したものを使う。
事業費は約5億円で、県がIHIプラント建設(東京・江東)や横河電機、環境ベンチャーのゼネシス(東京・中央)に委託した。3月までに出力50キロワットの発電機を沖縄県海洋深層水研究所(同県久米島町)の敷地内に設置し、3月30日に試運転した。
県は「出力が安定した発電源として活用し、将来的な大型化や商業化の可能性を研究したい」(産業政策課)としている。海洋深層水をくみ上げる取水管の新規設置には数十億円規模の費用が掛かることから、排水を農水産分野に活用するなどの複合的な利用によるコスト削減などについても可能性や課題を調べる。