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首都圏の中小、税制改正大綱で事業承継促進に期待

自民、公明両党が24日に決めた2013年度税制改正大綱について、首都圏では中小企業への効果などを評価する声が多い。中小の事業承継税制の見直しは、後継者不足に悩む首都圏の中小企業には明るい材料になりそうだ。住宅ローン減税の拡充は、消費増税前後の住宅需要をならす効果が期待できる。

●後継者問題

鋳物製造の会社が数多く集まる埼玉県川口市。国外に仕事が流れる空洞化に加え、後を継ぐ人をなかなかみつけにくいのが経営者の悩みのタネだ。ここで鋳物をつくるSPRの中村友治社長は事業承継税制の見直しについて「若い経営者に事業が引き継がれ企業が元気になる。街の活性化にもつながる」と歓迎する。

事業承継税制とは、中小企業の後継者が一定の要件を満たせば、非上場株式など相続税の8割の納税が猶予される制度。09年に創設されたが、後継者が先代経営者の親族に限られるなど使い勝手が悪かった。15年の改正後は後継者が親族以外でもよくなるなど利用しやすくなる。

みずほ総合研究所が昨年まとめた事業承継に関する調査では、承継を経験した企業のうち8割弱が親族内での承継だった。改正で親族以外へもスムーズに事業を引き継げるようになれば、中小の廃業を減らすなどの効果が期待できそうだ。

●住宅ローン

2013年末に期限切れとなる住宅ローン減税については、期間を延長したうえで、所得税から控除できる上限金額を現在の倍に当たる10年で400万円に引き上げる。不動産会社のリスト(横浜市)は「消費増税前の駆け込み需要とその反動の平準化につながる」と評価する。

人口増が続く東京周辺は住宅やマンションの激戦地区。それだけに税制変更による需要の変動に関連業界は敏感だ。中堅住宅メーカーの新昭和(千葉県君津市)は「前回1997年の消費税率引き上げのときには特に増税後の反動減に苦労した」と振り返る。

住宅ローン減税の拡充で、場合によっては14年4月の消費増税後に住宅を購入した方が得になるケースが出てくるため、増税前後の住宅需要をならす効果がある。

例えば建物だけで2000万円の戸建て住宅を購入する場合。消費税率が5%なら消費税額は100万円。これが8%に引き上げられると160万円、10%で200万円となる。現行のローン減税で控除できる額は、消費税のかからない土地代も含めて10年間で最大200万円。14年4月以降は400万円に増えるため増税後に取得した方が得になるケースもある。

ただ最大限に控除を受けるには10年間、ローン残高が常に4000万円を超えている必要がある。これだけ多くの借り入れをする人は多くはないため「インパクトは大きくないのでは」(注文住宅の桧家ホールディングス)との見方もある。

●自動車購入

自動車に関しては、15年10月に自動車取得税の廃止が決まった。住宅と並び高額商品の自動車は消費増税の影響が大きい。だが廃止以降は取得税の負担がなくなるため、販売店からは「販売にプラスに働き、消費増税前の駆け込み需要の緩和にもつながる」(神奈川トヨタ自動車のマイクス本社店の鈴木穣店長)と歓迎の声があがる。

ただ自動車取得税は都道府県税のため、首都圏の都県でも税収が減ることになる。例えば東京都は、13年度に同税で約180億円の収入を見込んでいる。さらに同税は6割強を市区町村に配分する仕組みのため都は「廃止になれば打撃は市区町村の方が大きい」(財務局)と懸念する。八王子市は「代替えとなる財源の有無が分からないなど、見通せない部分が多い」(財務部)と戸惑う。

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