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東京ストアー民事再生法申請、他地域からの参入が打撃

石川県内に10店舗を持つ食品スーパー、東京ストアー(金沢市)が18日、民事再生法の適用を申請した。金沢市やその周辺には岐阜県のバローなど他地域のスーパーの進出が相次ぎ、価格競争に敗れた結果だ。自力あるいはスポンサーを確保して企業として再建を目指す方向だが、既に好採算の店舗を資金繰りのためにばら売りしており、道筋は厳しい状況にある。

11日前後、東京ストアー幹部は北陸の有力スーパー数社を訪ねた。西南部店(金沢市)など2店舗の買い取りを要請し、「18日までに1店につき1億円以上の手付金を払ってほしい」。あるスーパーの関係者は「問屋などに対する20日締めの支払いができなくなったのでは」とみた。結果的に交渉は実らず、18日に破綻に追い込まれた。

金沢商圏が標的

経営危機が言われ始めたのは2012年秋口。東京ストアー首脳が岐阜県のバロー首脳に支援を要請。バローは資金支援の名目で東京ストアーの石川県野々市市などの3店舗を買った。好立地の3店舗の売却は「自ら危機にあることを如実に示してしまった」(金沢市の経済界関係者)。

前後して9月には早期退職者の募集で140人の社員を30人弱に減らした。自力でリストラを進めたが、主力金融機関である金沢信用金庫は自身の経営悪化で10年3月期に信金中央金庫から135億円の支援を受けており、融資先を支える十分な体力はない。破綻は時間の問題ともいえた。

同社は1959年に箕田能昌氏が創業。金沢市の食品スーパーの草分け的存在だった。生鮮品に定評があり「価格は少々高めだが、品物がいい」と言われた。しかし、90年前後に手掛けた中国との貿易事業が失敗。あとを継いだ能昌氏の娘婿で現社長の箕田秀夫氏は立て直しを急いだ。しかし、その後続いた不況は、同社を取り巻く環境を一変させた。

人口約45万人の金沢市は周辺を合わせると60万人以上となり、北陸随一の商圏。同社やマルエー(同県白山市)といった地場スーパーが独占してきたが、そこに目を付けた他県勢が相次ぎ出店してきた。中部や富山県の企業にとって、調達や物流の効率化に向けて規模を拡大するには金沢市は格好の商圏だった。

バローは01年に金沢に初進出。18円のコロッケや豆腐を発売するなど価格競争力がある。富山県のアルビスや大阪屋ショップ(富山市)は、同県内での競争激化を受けて金沢市周辺での出店を積極化。「どんたく」を経営する山成商事(石川県七尾市)も、10年に金沢市内に初出店した。場所は東京ストアーの西南部店にほど近いところだ。

地場が守勢に

石川県外のスーパー幹部は「金沢周辺の地場スーパーは豊かな商圏に慣れすぎて、競争が不得手」とみる。10年にも金沢市内で4店を持つスーパーが事業停止しており、東京ストアーの破綻は地域外の勢力に押される地場企業という構図をより鮮明にしたといえる。

東京ストアーは19日以降も営業を続ける方針。「裁判所の監督下で最もいい再建方法を探る」(申請代理人の石原真弓弁護士)としており、自力再建とスポンサー確保の両にらみで立て直しを図る方針だ。しかし、あるスーパーの首脳は「田上店(金沢市)など一部の優良店だけならともかく、会社まるごと引き受けるのは難しい」と話す。

北陸では「セブンイレブン」の出店攻勢やドラッグストアの食品取り扱いの増加などにさらされ、金沢市に進出してきた食品スーパーすら地域によっては守勢に回っているほど。東京ストアーは早く次のシナリオを確定しなれば再建の道筋は日一日と見えづらくなる。

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