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福田康夫元首相「外交修復に10年かかる」

引退議員に聞く

――引退表明は9月26日夜、自民党総裁選の日でした。

「一つのけじめ、ケリがついた。新しい総裁が選ばれ、3年の野党暮らしから与党になるかもしれない新しい局面を迎える区切りの時だ」

1人に期待、危険

――衆院選を経て政界の混乱は収まるでしょうか。

「民主党がバラバラになって新しい政党ができてくる過渡期でしょう。時間がたてば収れんされると思う。小選挙区制は比例代表もあるから第三極を生みやすいが、二極対立ではなく多くの意見を吸収する仕組みが必要だという考え方もある。もう少し研究しないといけない」

「選挙が近づいて党を抜け始めるのも、政治家として根性がないよね。苦しいときに一致団結して頑張ろうという気持ちがないと駄目だ。自民党もかつてそういうことがあったが、とどまって都合の悪いところを正す努力をなぜしないのかな」

――第三極の核になっている日本維新の会の橋下徹代表代行をどう評価していますか。

「いわく言い難しか。万能な政治家はいない。だれか一人に期待するのはやめた方がいい。個人プレーに引きずられてマスコミが右往左往すれば国民が路頭に迷う」

――安倍晋三自民党総裁は一度、首相を辞めました。

「そんなに傑出した人がいないなら、この人がトップに立って組織がどういう動きをするかな、と考えた方がいい。この人もしっかりしているが、周りにいる人もしっかりしているねというのが一番安心できる。トップだけですべてとなると間違うと思うね。小泉(純一郎元首相)氏も彼の能力もさることながら、皆で彼を支えていこうという仕組みがうまくいった」

リーマンが誤算

――福田政権も1年で幕を閉じました。

「僕は地道にやった。徹底的にポピュリズムを排した。だけど、足を引っ張られちゃった。僕がどんなに良いことをやろうが、小沢(一郎民主党代表率いる)民主党は絶対にOKを言わない。相手にしてもしょうがないと思えば衆院を解散するしかないが、解散したら負けることが分かっていた。民主党に政権を渡したら世の中悪くなるだろうと思い、麻生太郎氏に頑張ってもらうしかないなと」

「タイミングが悪かった。麻生氏が政権を取ってすぐ解散すればよかったんです。そうしたらしばらく自民党政権は続いた。不幸だったのは(2008年秋の)リーマン・ショックが襲ってきたことです。あれさえなければ彼は解散したと思う。自民党は辛うじて勝って政権を維持し、当分解散しなければその間に立て直すことはできた。あんなに早く来ると思わなかった。年末かなあと思っていた。誤算だ。リーマン・ショックが起きてもなお解散する手はあった。頑張ってやっちまえばよかったんだけどね」

――小沢氏と模索した大連立構想は実現しませんでした。

「小沢氏とは社会保障国民会議を立ち上げるという話はした。すなわち消費税で財源を補填していこうということだ。しかし消費税までは言及していない。連立の話を決めてから政策を議論しようと。その前に党の了承をとってくると言って彼は部屋を出たけど、駄目だった。全部パーです。大連立に反対した人たちは一体何を考えているのか。この3、4年は無駄というか損しちゃったよね、日本は」

――外交も周辺国との関係が悪化しています。

「1年で壊したものは(修復に)10年かかると思う。相手も日本の国内状況も変わってくるから、10年後に復活しましたと言えるような状況になるか分からない。日米がしっかりしてるから他の外交もうまくやれるという関係にあった。その仕組みを壊すというのは全く新しいことを始めなさいというのと同じですよ」

――後継候補は長男ですが、衆院選では世襲の是非も争点になりそうです。

「世襲であろうが何であろうが、国民のためになる人を選ぶというその一点に尽きますよ。政治家が評価されない社会で、誇りを持って仕事をしようという思いを持って出てくる人が減ってはよくない。名前ばかり売れて自然に当選するようなことでは困る」

メディアを注視

――今後は政治にどうかかわっていきますか。

「これからは他党ではなく、メディアをチェックする。目先の視点ではなくロングタームで考えてほしいね。たくさん政党ができて、自己宣伝を一生懸命している方が得だという感覚を育ててしまった」

「異常な状況をつくった政治の責任はもちろん、メディアの責任もある。郵政解散の時は『刺客』に関心がいき、前回の衆院選で民主党はマニフェスト(政権公約)にお金がなければできない政策ばかり羅列したが、できなかった。しっかり検証して分析してほしい」

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