福山競馬、通期黒字困難に 年内の存続判断も
広島県福山市は16日、競馬事業での今年度の黒字確保は困難との見通しを明らかにした。2013年度予算案での収支均衡も厳しいという。羽田皓市長は単年度の黒字化が中国地方で唯一の公営競馬事業の存続の条件としており、12月の市議会開催を控え、年内にも何らかの決断を迫られる公算が大きくなっている。
福山市によると12年度上半期(4~9月)の歳入は40億8288万円で、東日本大震災の影響で馬券などの売り上げが伸びた前年同期と比べ11%減少した。運営費の削減などで歳出を同9%減の41億397万円に抑えたものの収支は前年同期の約6500万円の黒字から約2100万円の赤字と大幅に悪化した。
今後は10月に導入した日本中央競馬会(JRA)のインターネット馬券購入システムや年明け以降の主要レース開催による増収効果を期待する。ただ、競馬場やJR福山駅前での収入は落ち込みが続いており、通期の赤字は不可避と見られる。
13年度には2年間の期間限定で地方競馬全国協会から交付されてきた年間約1億円の補助金が打ち切られるが、これを埋める増収策は見あたらない。コスト削減も限界に近く、「収支均衡の予算を組むのは極めて難しい」(財政局)という。
羽田市長は競馬事業の存廃は来年度の予算編成過程で判断するとしており、今年度、来年度ともに黒字確保が困難となったことで、廃止決断の環境が整いつつある。今後は競馬事業従事者の雇用確保などに取り組みつつ、廃止決断の時期を探ることになると見られる。