2019年1月19日(土)

安部公房の未発表作発見 題名「天使」22歳で執筆か

2012/11/7付
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「砂の女」「箱男」などの小説で知られる作家、安部公房さん(1924~93年)の最初期の未発表短編が見つかったことが6日、分かった。22歳だった終戦後の46年に、旧満州(中国東北部)からの引き揚げ船の中で書いたとみられる。7日発売の「新潮」12月号に掲載される。

短編「天使」が書かれたノート(新潮社提供)

新潮社によると、題名は「天使」。精神障害のある男が病院を抜け出し、通行人や自分を天使だと思い込みながらさまよい歩く様子を描く。安部作品に一貫していた現実世界の虚構性というテーマが既に表れている。

糸で閉じたA5判のノート19枚に書かれ、安部さんの母の実家を継いだ実弟の札幌市の自宅で見つかった。長女の安部ねりさんらが本人の青年時代の筆跡だと確認した。一定した筆勢から、清書した原稿と思われる。

同誌に併せて掲載される文芸評論家、加藤弘一さんの解説によると、安部さんは46年、東大医学部の後輩に宛てた手紙に「船の中から、『天使の国』と言ふ短編を書き始めてゐる」と書いていたが、実物は見つかっていなかった。これまで発見されている中では、3番目に古い作品という。

安部さんは幼少期から終戦までの大部分を旧満州で過ごした。51年に「壁―S・カルマ氏の犯罪」で芥川賞を受賞。不条理な世界を通して現代人が抱える不安や違和感を描き、大江健三郎さんらと並ぶ戦後の日本文学の旗手として知られた。〔共同〕

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