大手商社、変わる勢力図 鋼材不況で利益格差縮小
13年3月期、三井物産・三菱商事が下方修正

2012/11/3付
保存
共有
印刷
その他

資源価格の下落で、大手商社の勢力図が変化する兆しが出ている。2日までに出そろった大手5商社の決算発表で、三菱商事三井物産が2013年3月期の業績見通しを下方修正した。両社は資源、特に鉄鋼原料への依存度が高く、中国を震源とするアジア鋼材不況が直撃した。非資源に強みを持つ住友商事丸紅は連続最高益を目指す従来予想を維持しており、利益格差が縮小しつつある。

三井物は今期の純利益(米国会計基準)見通しを前期比29%減の3100億円へと900億円下方修正した。三菱商も先月、今期の純利益(同)見通しを10%増から27%減に引き下げている。

ここ数年、三井物は鉄鉱石、三菱商は原料炭と、ともに鉄鋼原料が最大の収益源だった。純利益の資源依存度はそれぞれ94%、65%(前期実績)と高く、業績拡大の原動力となってきた。しかし経済成長で世界最大の鋼材消費国となった中国経済の減速とともに、鉄鋼原料の需給が軟化。価格は過去半年だけで約3割も下落した。

一方、伊藤忠商事など3社は世界景気の不透明感が強まるなか、通期の純利益見通しを据え置いた。伊藤忠は最高益だった前期比7%減益にとどめ、住友商は4%増益、丸紅は16%増益とそろって連続最高益を狙う。

中国の景気減速で鋼材需要も鈍化している

中国の景気減速で鋼材需要も鈍化している

3社は資源依存度が約半分かそれ以下。伊藤忠は繊維や食料、住友商はメディア、丸紅は紙パや電力インフラなど非資源で特徴ある事業を抱える。非資源部門の利益は資源部門のように相場上昇による急増は見込みにくい半面、景気変動の影響を受けにくく安定的に推移する傾向がある。

また3社は保有する資源権益の構成で、鉄鋼原料への依存度が三井物などより低い点も見逃せない。例えば銅や石油などは自動車や半導体、物流関連など需要業界が幅広く、顧客が製鉄業に限られる鉄鋼原料より需給悪化に見舞われにくい。丸紅は銅や石油関連の健闘が業績を支え、伊藤忠も電力業界向けの一般炭が一定の利益を確保した。

この結果、今下期の純利益予想をみると三菱商、三井物、伊藤忠が1400億円前後、住友商事が約1300億円、丸紅が1000億円弱と各社の収益力の差は急激に縮まりそうだ。前下期は三井物、三菱商が2000億円強だったのに対し、伊藤忠が約1400億円、住友商と丸紅は1千億円を下回っていた。

足元で鉄鋼原料への依存度の高さが「もろ刃の剣」であることが浮き彫りになった。今後、限りある経営資源をどの分野に投入していくのか。各社の経営戦略が今後の利益成長に影響を与える可能性は高い。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]