JR東海、新幹線海外受注へ米に照準 日台3社と協力

2012/10/25付
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東海旅客鉄道(JR東海)は台湾高速鉄路、西日本旅客鉄道(JR西日本)、九州旅客鉄道(JR九州)と連携し、米国での受注を目指す。高速鉄道計画があるテキサス州(ダラス―ヒューストン)では新幹線、ワシントン―ボストンでは超電導リニアを想定。高速鉄道の検討が進むオーストラリアも視野に、東海道新幹線の技術を使う日台4社で売り込みに力を入れる。

JR東海は東海道新幹線の海外版「N700I-Bullet」とリニアについて、運行システムを一体化した商品としてPR。技術を輸出する条件に(1)高速鉄道専用の線路での運行(2)安定した政情(3)巨大プロジェクト実行の経済力(4)知的財産権保護や契約順守の法体系――を挙げている。

まずダラス―ヒューストン(400キロ弱)の民間によるプロジェクト受注に照準を定めた。約600万人と周辺人口が多く、新設のため在来線乗り入れが必要ないなど、JR東海の条件に合致する。運行主体や有力な出資先となり得る地元の関係者らに導入を訴える。

「北東回廊」と呼ばれるワシントン―ボストンの約730キロは米国の国家プロジェクトになることを見込み、移動速度を打ち出してリニアを売り込む。実現すればワシントン―ニューヨークを約1時間で結ぶ計算だ。

JR東海は2009年7月に設置した「海外高速鉄道プロジェクトC&C事業室」に運行管理、車両、土木、電気、法務など各部門の社員を集めた。現在は日本に10人、ワシントン事務所に5人と設立時の2倍以上に増員。高速鉄道の安全基準づくりに取り組む米運輸省への技術説明もC&C室が担当している。

豪州政府は東部のブリスベーンからシドニー、メルボルンを結ぶ高速鉄道導入の最終調査を進めている。JR東海は現地の鉄道に関する会議に幹部の派遣を検討するなどシドニー事務所を拠点に情報を収集。実現性が高まれば、C&C室から要員を継続派遣して交渉に入る意向で、豪州が米国に続く重点売り込み先となる公算が大きい。

C&C室の加賀山慶一副室長は「鉄道業界の活性化や技術の進化には海外進出が不可欠。地道な人脈づくりや新幹線のPRに努める」と話す。

日本の高速鉄道は受注実績で欧州勢に後れを取っているのが実情。台湾高鉄との連携は、輸出の成功事例として台湾新幹線を活用する思惑もありそうだ。問題は、日本と欧州の技術が混在する台湾新幹線を"自前"の技術としてどう売り込むか。

台湾新幹線は延伸や停車駅の増加を控えている。JR東海には、技術支援の拡大を通じて、自社技術の比率を実質的に高めていく構想もあるようだ。(小川知世)

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