2019年3月20日(水)

原発廃棄物、処分法に新提言 東工大の今田教授に聞く
編集委員 滝 順一

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2012/10/3 7:00
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日本学術会議の委員会は原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物の処分について「総量管理」「暫定保管」など新しい考え方を盛り込んだ提言を公表した。これまでの政府の最終処分の方針を見直すよう求めている。委員長を務めた今田高俊・東京工業大学大学院教授(社会システム論)に提言の内容などを聞いた。

今田高俊・東京工業大学大学院教授

――提言で取り上げた高レベル廃棄物は使用済み燃料と、使用済み燃料の再処理で生じる高レベル廃棄物の両方を含んでいます。その総量管理とは何を意味しますか?

「廃棄物は私たちが原子力を利用した証しだと言える。廃棄物を見れば、これまでの私たちがいかに原子力に依存してきたかわかる。これからどこまで依存していくのか、毎日増えていくので、いわば(依存度を知る)バロメーターだと言える」

「原子力をどうしていくか。廃棄物の量で管理する発想が現実的だ。どこまで許容できるかの大枠を決めて、枠内で廃棄物を管理していくことこそがエネルギー政策の中核ではないか。管理の仕方は2つ。上限を決めるか、増分を抑制するかだ。前者なら脱原発、後者の場合は原発を維持するにしてもどの程度の規模で維持するのかを決める。原発に反対であろうと推進であろうと、イデオロギーにかかわらず、考えなくてはいけない」

――数十~数百年の「暫定保管」という考え方はなじみがなく公表後に議論を呼んでいます。

「これまで政府が進めてきた最終処分は地下300メートルより深い地層に埋めるものだが、委員会ではそれは無理だとの考え方をとった。地震学者らからのヒアリングによれば、地震や火山活動が活発な日本で万年単位で地層が安定していると予測はできないという。これは科学的知識の限界だ。地下に埋めてふたを閉めてしまった後に、もし断層が動いたらお手上げになる」

――既存の最終処分では、仮に地殻活動で廃棄物を収めた容器から廃液などが漏れても、人間が居住する環境に届くまで非常に長い時間がかかるので、事実上影響はないとの考え方にも立っているはずです。

「その考え方は甘い。地下深くの微生物に放射線が作用してその微生物を取り込んだ別の生物が地上に出てくるなど、人間界に及ぶ可能性はいろいろ想定できる。また人間のエゴで環境を汚していいのかという問題もある。そこまでのリスクを背負ってまで地層処分にこだわる必要はない」

「現在行われている中間貯蔵は30~50年間、使用済み燃料を冷やしつつ地上に保管するものだが、これもそのまま長期間置きっぱなしとはいかない。テロへの心配もある。地中に保管して何かあったときに取り出して別のところに移せるようにするのがよいと考えた。それが暫定保管だ。実行するには廃棄物を入れる場所と、もしもの時に移すための空っぽの保管場所の2つの施設が少なくとも要る。取り出し可能にすることで、万年単位埋めたままよりリスクは少なくなる。

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