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「O2O」でシナジー創出、スマホ時代の通販進化

ECサイト「オーマイグラスィズ」、メガネドラッグと提携

インターネットのサービスと実在の店舗を融合させ、シナジー効果を生む「O2O(Online to Offline)」が注目を集めている。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の普及で利用が拡大。小売りやサービス業を中心に広がりを見せている。

メガネ通販の「オーマイグラスィズ」、メガネドラッグと提携

メガネの通販サイト「Oh My Glasses(オーマイグラスィズ)」を運営するミスタータディ(東京・品川)は21日、メガネドラッグ(東京・大田)と業務提携し、ECサイトで販売したメガネをメガネドラッグの関東70店舗で調整できるサービスを始める。

メガネドラッグと提携したメガネの通販サイト「オーマイグラスィズ」

オーマイグラスィズは2012年1月にオープンし、約70ブランド、2000種類のメガネをラインアップする。何本でも無料で取り寄せて試着でき、14日以内なら返品送料や手数料が一切発生しない。オープンから7カ月でおよそ1000本を出荷した。

提携の目的は2つある。まずメガネ通販の弱点を補強することだ。メガネは衣類や靴などとは異なり、個人ごとにフレームの微調整が必要だ。購入直後のフィッティングや破損時のケアに不安を抱き、通販に二の足を踏むユーザーは少なくない。遠近両用など、実店舗でなければ作成できない特殊レンズもあった。今回の提携で、サービスを受けられる店舗数が4月から対応済みのマルイ20店舗と併せて、計90店に拡大する。オーマイグラスィズのサイトで購入したメガネの掛け心地の調整やレンズの作製・交換、破損時の修理などが、格段に受けやすくなる。

「実店舗とできることはたくさんある」(清川忠康CEO)。タブレット端末やスマホを活用し、集客に力を入れる考えだ。例えばメガネドラッグ店頭に米アップルのタブレット「iPad」を設置し、オーマイグラスィズの商品を高解像度で閲覧できるようにする、スマホの全地球測位システム(GPS)機能やフェイスブックの「チェックイン」などを利用して、メガネドラッグへ来店した人にオーマイグラスィズを推薦するサービスなどを検討している。

市場の拡大、共に模索

メガネ業界でO2Oの先行事例を作ったのが、「JINS」ブランドで急成長を続けるジェイアイエヌだ。それまでのメガネ店はリピート来店を促すため、測定した視力データを顧客に教えないことが多かった。しかしジェイアイエヌは視力データを顧客に渡し、自社では個人情報を保管しない方法を採った。この方式なら測定データを持ち帰った顧客がオンラインショップにアクセスし、2本目、3本目のメガネを簡単に購入できる。2990円から購入できる安価なフレームも、ユーザーの新しい購買形態を後押しした。アフターサービスは全国に150店以上ある実店舗で受けられる。他にも実店舗を訪れた顧客に、ネット通販で使えるクーポン券を配るなどして送客。現在、オンラインショップの売上額は売り上げ上位ランキングの実店舗とほぼ同等で、オンライン先行予約品の中には、1日で7000本売れるフレームもあるという。

巨大資本を持たないオーマイグラスィズは、自社店舗を持つ代わりに様々な工夫を進めている。4月12日には大森に、ユーザーが専門のコンシェルジュからスタイリングのアドバイスなどを受けられる自営ショールームを開設した。さらに6月22日には、フレーム5本を試しがけできる「ホームトライキット」サービスも始めた。

それまでは注文を受けた時点でクレジットカードの課金処理を行い、ユーザーからフレームが返品された後に返金処理を行っていた。しかし、福井県鯖江産を中心に高品質をうたう同社のフレームは、2~3万円前後の価格帯が中心。5本のフレームを試そうとすると10万円強が課金されることになり、抵抗感を持つユーザーも多かった。

ホームトライキットの場合は5日以内に返品すれば、送料や手数料がかからない上クレジットカード決済もされない(期日までに返品がなければ決済される)。こうした工夫が実を結び、7月の出荷本数は過去最高の392本だったという。

今後はパートナー企業と、業界関係者を招いた勉強会の開催も予定している。「メガネドラッグからはメガネのノウハウ、自社からはインターネットのノウハウを提供することで、業界全体にもメリットがある」(清川CEO)。メガネドラッグの壷井尚取締役も「新しい切り口で、共に市場拡大の可能性を模索したい」と前向きな姿勢を示す。今後1年で売上1.5億円、販売本数6000本を目指す考えだ。

スマホアプリも登場 加速する「O2O」

メガネに限らず様々な業界で、O2Oへの取り組みが始まっている。カタログ通販大手のニッセンは、4月に「スマイルランド・バーチャルショップ」を開設。渋谷にある実店舗を360度パノラマ撮影し、マネキンのスタイリングなどを参考にしながらファッションアイテムを購入できる。渋谷店自体の知名度を高め、送客する狙いもあるという。スタートトゥデイのファッション通販サイト「ゾゾタウン」も、9月に展示会を開催予定だ。展示されている国内外の約200ブランドの商品をその場で試着・予約購入でき、特典として購入価格の10%をポイントで還元する。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とヤフーは、来春をメドに双方のポイント制度を統合する。ポイントをCCCの「Tポイント」に、ユーザーIDをヤフーIDにそれぞれ統一することで集客力を高める。

スマホ専用のアプリも提供されている。博報堂DYグループの横断組織「博報堂DYグループ・スマートデバイス・ビジネスセンター」と博報堂アイ・スタジオは、スマートフォンを「振る」ことでコンテンツを取得できるアプリ「grabee(グラビー)」の提供を13日に始めた。サービスに対応した店舗や駅のポスターなどの前でアンドロイド端末やiPhoneのアプリを起動し、スマホを振るだけで、クーポンや楽曲、スタンプラリーなどのコンテンツを取得できる。

個人消費、改善の一手に

2012年版「情報通信白書」によれば、スマホ普及による個人消費の押し上げ効果は、ネット通販(1兆31億円)を含め年間約3.7兆円にのぼるという。スマホが後押しするO2Oは、消費を活性化させる次の一手となりそうだ。

(電子報道部 富谷瑠美)

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