SUV「CX―5」に社運、他車種への波及課題に 正念場のマツダ(下)

2012/5/3付
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 「ぜひ乗ってみてください」。4月、マツダの山内孝社長ら幹部が自動車関連企業や金融機関など広島県内の企業を訪れた。売り込むのは2月中旬に発売した小型の多目的スポーツ車(SUV)「CX―5」。山内社長は走行性能や低燃費性を自ら説明。ときには初の取り組みとして同車を一定期間、無料で貸し出すなど拡販に力を注ぐ。

マツダ販売店もCX―5を前面に売り出している(広島市)

 「CX―5」は燃費や走行性を高めるためエンジン、変速機などの基幹部品の構造を全面見直したマツダの次世代環境技術群「スカイアクティブ」を本格採用。低燃費のディーゼルエンジン搭載車も投入するなど「マツダの社運をかけた車」(山内社長)で、開発や販売などの役員が総出で企業への売り込みに乗り出した。

■広島でシェアを

 広島の県内企業で構成しマツダ車の普及促進を支援する郷心会連合会(広島市)も「マツダと取引のない企業の会員も増やし購入してもらう契機にしたい」(大西均事務局長)と話す。

 地元経済界までもがマツダを支援するのは広島県内での2012年3月期のマツダのシェアが約12%と、11年3月期比横ばいにとどまったためだ。1位のトヨタ自動車のシェアはこれを大きく上回る約40%。マツダ社内では「少なくとも20%は欲しい」という声がささやかれるが、その数字は長年達成されていない。

 マツダは昨年6月「スカイ」技術を搭載した新型車「デミオ」を発売。ガソリン車としては最高水準で、ハイブリッド車(HV)にも比肩する1リットル=30キロの低燃費が人気を呼び販売を伸ばした。

 だが、この一方で中型車「アテンザ」やミニバン「プレマシー」といった「スカイ」非搭載の既存主要車種の販売が減少。これに東日本大震災の影響などが加わり、12年3月期の世界販売は124万6500台と2%減った。目玉となる新車種を売り込んでも、既存車種の販売を伸ばせない。この状況から脱却できていないことも今のマツダの経営を苦しめる一因となっている。

■ファミリア以来

 例えばトヨタはハイブリッド車「プリウス」を大ヒットさせ、「HV」に強いトヨタというブランドイメージを確立。ほかの車種の販売も伸ばした。広島県内のあるマツダ販売店幹部は「CX―5だけでなく、ほかの車種の魅力を浸透させるよう販売員に発破をかけている」と先を見据える。

 国内の年間目標販売台数を超える1万4000台を受注する勢いのCX―5。山内社長は「赤いファミリア以来の反響」と1980年に売り出し、当時のマツダの経営危機を救ったヒット車を重ね合わせる。だが、それから約30年がたち、マツダの経営は再び大きな岐路を迎えている。

 スカイアクティブの技術やディーゼルエンジンを搭載した新型車の投入を急ぎ、マツダの新たなブランドイメージを構築できるか。一時のヒット車だけに頼らずにすむ経営体質をつくれるかも、マツダ再生の試金石となる。

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