2019年2月21日(木)

首長の違法公金支出、議会の損賠請求権放棄に制約 最高裁判断

2012/4/21付
保存
共有
印刷
その他

違法な公金支出であるとして地方自治体の首長に損害賠償を求めた住民訴訟で地方議会が賠償請求権を放棄したことの有効性が争われた5件の訴訟の上告審判決が20日、最高裁であった。第2小法廷(千葉勝美裁判長)は議会の議決について「請求権の放棄が不合理で裁量権の逸脱や乱用に当たる場合は違法」と一定の制約を設ける初めての判断を示した。

違法な公金支出の賠償請求権を放棄する同種の議決や条例改正が全国で相次いでいる。最高裁は請求権放棄の適否について「請求の経緯や影響、議決の趣旨や経緯、住民訴訟の状況などを総合考慮して判断すべきだ」と厳格な判断基準を示しており、安易な議会の判断に警鐘を鳴らした形だ。

5件の訴訟は、神戸市の4件と大阪府大東市の公金の違法支出を巡る住民訴訟。一審で支出の違法性が争われた後、各市議会が請求権を放棄する議決や条例改正を行ったため、こうした手続きが有効かどうかも争われた。

23日に上告審判決が言い渡される栃木県さくら市の同種訴訟も含め、二審では住民側勝訴が3件、敗訴が3件と判断が割れていた。

判決理由で第2小法廷は、議会による請求権放棄は「手続きに問題がない限り、議会の裁量権に基本的に委ねられている」と指摘。ただし、住民訴訟の対象となっている場合は(1)公金支出の性質や原因、影響(2)議決の趣旨や経緯(3)請求権の放棄や行使の影響(4)住民訴訟の状況――などの事情を総合考慮し、「請求権の放棄が不合理で裁量権の逸脱や乱用に当たる場合は違法」と結論づけた。

そのうえで、第2小法廷は各訴訟の中身を詳細に検討。二審・大阪高裁が神戸市長への約55億円の請求権放棄を無効とした1件について、「市長に過失があったとは言えない」などと請求そのものの適否を判断した上で原告側請求を棄却した。ほかの4件については議会の議決の適法性について「審理が尽くされていない」と判断、地裁や高裁に差し戻した。

千葉裁判長は補足意見で「議会は単なる政治的判断ないし温情的判断のみで処理してはならず、裁量の逸脱や乱用がないように、今回の判決が示した枠組みで考慮されるべき諸事情を十分に踏まえ、事案に即した慎重な対応が求められる」と述べた。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報