2018年5月27日(日)

新潟県内に2新幹線併存 観光・過疎…期待と不安

2012/4/21付
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 2014年度末に開業予定の北陸新幹線延伸によって、新潟県内には上越新幹線と2つの新幹線が併存することとなる。観光振興への期待感が高まる一方で、2つの新幹線が通らない地域の過疎化が進むとの指摘もある。県などは検討委員会をこのほど立ち上げ、地域活性化に向けた取り組みに着手した。

駅建設など北陸新幹線延伸に向け準備は着々と進む

 「新幹線が2本通るメリットを最大限生かし、地域活性化や新潟の拠点性向上につなげたい」――。県などが3月末に開いた初の検討委では、北陸新幹線開業の効果を期待して前向きな意見が相次いだ。特に集中したのが県外からの観光客誘致につなげるものだ。

■佐渡集客の算段

 「佐渡は歴史的に東京より関西にゆかりのある島。佐渡観光活性化を後押ししてくれる期待がかかる」と県交通政策局の坂井康一局長は話す。能の舞台も多数存在し伝統芸能の島としても知られている。こうした歴史のゆかりで、関西からの観光集客が期待できるとの算段だ。

 JR6社が全国に観光地の魅力を伝える「デスティネーションキャンペーン(DC)」の14年4~6月の対象地域に新潟が選ばれたことも追い風だ。前回09年度に選ばれたときは観光客数は約7500万人となり、前年度を約5.8%上回った。JR東日本の高木言芳・新潟支社長は「2本の新幹線を使う周遊型の旅行商品など企画したい。DCは開業前を控えて良い実験の場にもなり得る」と話す。

 県外から連携を求める声も出てきた。観光庁が上越市や長野市など信越地区計16市町村を「信越観光圏」として認定。協議会会長も務める鷲沢正一・長野市長は4日、新潟市内を訪れて「信越のつながりを強化し関西や首都圏から観光集客したい」と期待を示す。

■谷間地域に不安

 一方で、広大な県土に2本の新幹線が走ることによる懸念の声も聞かれる。「2つの新幹線に挟まれた地域の過疎化が進む」「直江津と長岡の間をいかに活性化させるか」――。検討委でも新幹線に挟まれた「谷間の地域」について懸念の声が相次いだ。

 また新幹線沿線でも停車駅から離れた地域の過疎化も議題に上がった。1997年開業の長野新幹線で、停車駅の佐久市では人口増になったにも関わらず、小諸市は事業所が流出し商品販売額が13年で3分の1にまで落ち込んだ資料も配付された。過疎化という負の影響をいかに最小化するかの議論がカギになる。

 検討委は今後数回議論を重ね、新年度の予算にも反映できるよう10月をメドに中間報告をまとめる予定だ。ここまで建設負担金問題に耳目が集まりがちだったが、地域活性化に向けて残された時間は多くはない。

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