2019年1月16日(水)

東京ガス、30日以内の復旧めざす 大震災どう乗り越える(2)
細分管理で55日から短縮

2012/3/7付
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東京都港区の東京ガス本社ビル4階に「供給指令センター」がある。大災害時に各地の被害情報やガス供給状況を集約、爆発や火災を防ぐ司令塔の役割を果たす。管内の約4000カ所にあるガス管の圧力調整器は震度6弱程度を観測すると供給を自動停止する。同センターはどの調整器が停止したかを把握し、「それ以外でも危険性が高いと判断した地域の供給を遠隔操作で遮断する」(防災・供給部の猪股渉課長)。

■保安業務に課題

供給指令センターは危険性のある地域のガスを遮断する(東京都港区)

供給指令センターは危険性のある地域のガスを遮断する(東京都港区)

同社は東京湾北部を震源とする首都直下地震が発生した場合、管内の全1000万戸のうち、江東、江戸川区などの109万戸で供給が全面的に止まると試算している。

ガスは水道、電気などとともに生活に欠かせないライフライン。大惨事が回避できる見通しが立てば、いかに早く復旧するかが重要になる。東ガスは大地震の発生から55日以内に管内の全世帯を復旧させる方針を掲げている。東ガスグループに加え、全国のガス会社から大災害時に人員派遣を受けられるようにしており、最大で約1万2000人が復旧作業にあたる体制を整えている。

それでも東日本大震災で見込み通り復旧できないことが判明した。同社の想定では、最初の3日でガス供給を続けている地域のガス漏れの有無を確認する保安業務を完了。その後、供給を停止している地域の復旧作業に着手する。問題が発覚したのは保安業務だった。

理由は2つあった。1つは作業の着手の遅れだ。ガス漏れの確認は顧客からの情報提供が欠かせないが、これが十分機能しなかった。昨年の震災時には東ガスのお客様センターにガスメーターの復帰方法などの問い合わせが殺到。首都圏が震源でなかったにもかかわらず、震災翌日には普段の10倍にあたる約22万本の電話が寄せられ、すべてに対応できなかった。

作業に使う車両の燃料確保も問題になった。ガソリンの購入先企業が被災し、通常の調達ルートが断たれ、別のルートが必要になった。

社内に横断組織を立ち上げ、対策の検討に着手。ガス漏れに対応する窓口にガス漏れ以外の電話が入らないような体制を整え、対応人員も2倍の約200人とした。

■低圧管を耐震化

燃料対策では「大阪ガスや東邦ガス、西部ガスと災害時にガソリンの備蓄を融通することを検討している」(導管部の伊藤博課長)。調達したガソリンを車両に供給する自前のガソリンスタンドも管内6カ所に整備する方針。これらの対策で「55日復旧」を確実なものにする。

これでも十分とはいえない。仙台市や名取市などに都市ガスを供給している仙台市ガス局は震災から1カ月余りで、約31万戸のほぼすべての世帯に供給を再開した。供給世帯が大幅に違うが、55日は決して短い期間とはいえない。

東ガスは2020年までに復旧期間を「30日以内」に短縮する方針だ。まず20年までに管内の低圧管(全長約4万6000キロメートル)のうち9割を耐震化する。現在、管内を140地区に分けて、管理しているが、これを細分化。ガス供給を止める地域を狭くし、復旧作業の期間を短くする。

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