中国発電投資7年ぶり低水準 12年6%減、料金統制で採算悪化

2012/2/8付
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【北京=多部田俊輔】中国の発電会社が2012年の設備投資を11年比6%減に抑制することが明らかになった。05年以来7年ぶりの低水準となる見通し。石炭価格が高値で推移する一方、中国政府が物価安定のために電力料金を抑制していることから、発電会社の収益が悪化したことが主因。中国の電力不足がさらに深刻になれば、中国製造業の成長を阻害する恐れも出ている。

中国の電力会社の業界団体、中国電力企業聯合会の調査によると、12年の中国全体の発電設備の能力増強は8500万キロワットにとどまる見通し。06年から11年まで発電設備の能力増強は毎年9000万キロワットを超えており、12年は05年以来の低水準に落ち込む見込みだ。

発電投資は11年の3712億元(約4兆5000億円)から12年は3500億元程度に減少する見込み。中国発電最大手の中国華能集団(北京市)の関係者は「今年の発電関連投資は前年比1割減の600億元まで圧縮する可能性がある」と打ち明ける。

投資抑制を引き起こしたのは発電会社の収益悪化だ。業界団体によると、11年の電力用石炭の調達価格は10年比で1割程度上昇。一方、政府に電力料金の上昇を数%に抑えこまれたため、全国の電力会社の大半は赤字に陥ったという。

昨年は多くの火力発電所の資金繰りが悪化し、「石炭調達に支障が出た」(電力会社幹部)。国有の五大発電会社の火力発電事業の11年上半期の損益は150億元規模の赤字となり、昨夏には標準的な原子力発電所30基分に相当する3000万キロワットの電力不足が発生。17省が計画停電を実施した。

中国政府は昨年末に電力料金の引き上げを認めたほか、石炭価格を統制して値上げ幅を5%以内に抑える方針を打ち出した。発電会社は「収益改善に一定の効果をもたらしたが、収益状態は引き続き厳しい」としており、設備投資には慎重な姿勢を示す。

このため、業界団体によると、12年は最大で原発40基分に相当する4000万キロワットの電力不足が起き、13年はさらに深刻になる可能性がある。地方政府幹部は「電力不足は工場建設などに悪影響。中央政府は電力供給の安定を優先してほしい」と注文を付ける。

経済成長に伴って中国は世界中から資源を調達するようになったが、政府は電力やガソリンなどの価格を統制、企業収益が犠牲になっている。国有電力会社幹部は「国内の統制価格を世界の資源価格の変化に合わせる改革を進め、資源浪費などを抑制すべきだ」と提言する。

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