苦悩する米HP、「IBM」になれずドタバタ劇を演じる名門企業

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2011/12/5 7:00
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米IT(情報技術)業界の名門企業であるヒューレット・パッカード(HP)が苦悩している。約1年の間にトップが2回も交代するなど経営が混乱し、業績も低迷。8~10月期の純利益は前年同期比91%減という惨たんたる状況だ。株価は年初に比べて35%も低い水準に落ち込んでいる。同じくIT業界の老舗であるIBMは、かつて業績低迷を受けてソフト・サービス事業への集中戦略を打ち出し、パソコン事業の売却など大胆なリストラで構造改革を成功させた。しかしHPは総花的な経営から脱することができず、IBMの背中は遠ざかる一方だ。

■タブレット不振で「たたき売り」

米国の多機能携帯端末(タブレット)市場でHPがシェア首位に――。11月下旬、米シリコンバレーでこんなニュースが流れて関係者を驚かせた。

タブレット市場では米アップルの「iPad(アイパッド)」の一人勝ちというのが"常識"なのだが、一体何が起こったのだろうか。この調査を行った米NPDグループの資料を見ると、その謎が解ける。

実はこの調査は「iPadを除くと」という前提で実施したもの。これで疑問の大半は解消できるが、それでもiPad以外では比較的善戦している「ギャラクシータブ」を販売する韓国サムスン電子を上回っているのが不思議だ。

その理由はこの3カ月ほどの間に起きたHPのドタバタ劇にある。

「火中のクリ」を拾った米HPのメグ・ホイットマンCEO=ロイター

「火中のクリ」を拾った米HPのメグ・ホイットマンCEO=ロイター

8月18日、HPのレオ・アポテカー最高経営責任者(CEO、当時)は5~7月期決算の発表に合わせて、独自の基本ソフト(OS)を搭載したタブレットやスマートフォン(高機能携帯電話)からの撤退を発表した。いずれも2010年に買収した米パームのOSを引き継いで開発した商品。パームは携帯情報端末の老舗として知られ、HPの商品の前評判も上々だった。

だが、7月に商品を発売してみると、売れ行きはさっぱり。アポテカー氏は発売から2カ月も待たずに撤退を決めた。

その直後から当初499.99ドル(約3万9000円)だった商品を99.99ドルに値下げするなど原価割れ覚悟の在庫処分に乗り出し、この「出血大バーゲン」がシェア首位という皮肉な記録をたたき出したわけだ。

■「パソコン分離」から一転して「見送り」

同社の右往左往ぶりはタブレット事業だけではない。8月の決算会見でアポテカー氏は、HPが世界シェアの約20%を握りトップに立つパソコン事業の分離を検討すると表明した。ところが社内外からの反発が大きく、同氏の後任に就いたメグ・ホイットマンCEOは10月末、「パソコン事業の分離を見送る」と決定。「分離によって他の事業の調達費上昇を招くため」(同CEO)などと説明した。

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