新興国、金融緩和に軸足 欧州危機にらみ景気下支え

2011/12/2付
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欧州債務危機の広がりをふまえ、新興国が金融緩和に動き始めた。ブラジルやタイの中央銀行が相次ぎ利下げに踏み切ったほか、中国人民銀行もほぼ3年ぶりとなる預金準備率の引き下げを決めた。世界経済の成長エンジンである新興国が金融面から国内景気の下支えに動きつつある。

新興国の最近の金融緩和(2011年)
8月ブラジル利下げ(12.5%→12.0%)
10月インドネシア利下げ(6.75%→6.50%)
ブラジル利下げ(12.0%→11.5%)
11月豪  州利下げ(4.75%→4.50%)
インドネシア利下げ(6.50%→6.00%)
タ  イ利下げ(3.50%→3.25%)
中  国預金準備率下げ(0.5%下げ)
ブラジル利下げ(11.5%→11.0%)

※発表日ベース

ブラジル中銀は11月30日に政策金利である基準金利を0.5%引き下げて年11.0%にすると発表した。タイ中銀も同日、深刻な洪水被害と景気減速に対応するため、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25%引き下げた。

中国は市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を12月5日から0.5%下げる。引き下げは2008年12月以来。インドネシアも11月まで2カ月連続で利下げした。

新興国が相次いで金融緩和方向にカジを切るのは、米欧向け輸出減などで国内経済の回復テンポが緩やかになったためだ。中国の10月の輸出は16%増と低迷。韓国やインドでも輸出が伸び悩む。

物価安定の兆しも、金融緩和に動きやすくなった要因といえる。中国の消費者物価指数(CPI)の前年比伸び率は7月の6.5%から、10月は5.5%に鈍化した。

名目の政策金利からCPIの前年比上昇率を差し引いた「実質金利」でみても、新興国の金融緩和の度合いは薄れてきた。実質金利はマイナスだと、預金してもらえる金利以上に物価が上がる。お金の価値が目減りするため、人々が早めにお金を使おうとし、景気を刺激する方向に作用する。

中国やタイの実質金利はなおマイナス圏だが、マイナス幅は縮小している。ロシアは9月にプラスに転じたほか、ブラジルやインドネシアもプラスで推移する。物価下落が続く日本の実質金利は0%近辺だ。

新興国の金融緩和は、欧州債務危機をにらんだ予防的な意味合いもある。財務健全化を急ぐ欧州銀行が新興国から資金を引き揚げれば、堅調な経済成長を続けるのは難しくなる。新興国はこうした事態を視野に入れつつ、迅速な金融緩和で景気を支える姿勢だ。アジア新興国向け輸出が全体の5割を超す日本にとって、新興国の金融緩和で輸出拡大に期待できる。

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