2019年7月22日(月)

「LED照明」でデータ通信 海中でダイバー会話も

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2011/11/30 7:00
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発光ダイオード(LED)が出す光にデータをのせてコミュニケーションの手段として活用する「可視光通信技術」の事業化が活発になっている。灯台のLEDが発する光を航行中の船舶が受信することで正確な位置を把握したり、ダイバー同士が水中で会話したりする装置など、様々な用途を目指した研究開発が進んでいる。来年以降は同技術を使った新製品も相次ぎ登場する見通しで、これまでの無線通信では情報伝達が難しかった全く新しい分野での活用が広がりそうだ。

■2キロ先の灯台情報を海上で

双眼鏡にイメージセンサー受光器を取り付けた試作機(16日、慶応義塾大学でのデモ)

双眼鏡にイメージセンサー受光器を取り付けた試作機(16日、慶応義塾大学でのデモ)

海上保安庁や東芝、カシオ計算機はLEDによる通信を応用した「灯台サブプロジェクト」を進めている。灯台から出るLEDの光に特殊な双眼鏡を向けると、灯台の認識番号が双眼鏡のレンズに浮かび上がる仕組みだ。悪天候でも船の場所を正確に把握でき、海上での事故防止にも役立つなどの効果が期待されている。

2008年から基礎実験を始め、今年10月には横浜港の灯台から2キロメートルから離れた航行中の小型船に積んだパソコンで灯台の認識データを受信することに成功した。データの受信速度は毎秒1200ビットと速くはないが、船上のパソコン画面には認識するための文字がくっきりと映し出された。

同プロジェクトに使われているのは、「可視光通信」と呼ばれる無線通信の一種。LED照明に可視光素子を発信する専用送信基板を取り付ける。人の目には見えない速さで点滅させることでデジタル信号を発生させる。データを送受信する素子や機器の開発などが進んだことを受けて「今年から急速に事業化の動きが活発になってきた」(可視光通信コンソーシアム事務局の小川修氏)という。

◆可視光通信とは
 人の目に見えるLED照明の光を使う通信方法。LEDの光を高速で点滅させ、光の波動性(明るさの強弱)を「0」「1」のデジタル信号に置き換えてデータを送る。現在、可視光通信の開発の中心となるのが慶応大学や電機メーカーなどが参加する「可視光通信コンソーシアム」。同コンソーシアムは、無線通信技術の分野で著名な慶応大学元教授の中川正雄名誉教授が2003年に立ち上げた。省電力の点でLED照明が普及し始める中、「照明や信号、通信インフラに」というコンセプトで可視光通信の開発、普及に取り組む。人体や電子機器に影響しない、すでに設置されている照明機器に通信機能を付加するだけでワイヤレス通信ができるという利点がある一方で、受光する角度がずれたり距離が離れたりするとデータが読み取りにくい、通信データ量がアプケーションによっては制限される、などの課題がある。

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