被災地、雇用情勢厳しく 9月失業率、宮城5.5%・福島4.7%
総務省は28日に発表した9月の完全失業率に関連して、東日本大震災後初めて岩手、宮城、福島の3県の数値を公表した。岩手は全国ベースと同じ4.1%だったが、宮城は5.5%、福島は4.7%といずれも全国を上回った。復興関連の求人は多いものの、被災者が希望する職種が少ない現実が改めて浮かび上がった格好だ。
今回の被災3県の調査は、被害が大きかった沿岸部など一部地区では実施できず、調査カバー率は3県合計で80%にとどまっている。
宮城労働局によると、復興関連の求人増で、県内の9月の有効求人倍率(季節調整値)は0.74と5カ月連続で改善している。一方で、同月の有効求職者(同)は6万3338人と7万2千人超いた6月から3カ月連続で減ったものの、震災前の2月の約5万5千人を大きく上回っている。同労働局は「特に沿岸部は求人の業種が偏っており、就職が進まない」と話す。
実際、28日に宮城県石巻市のハローワーク石巻を訪れた男性(23)は「地元の産業の復興に貢献したい」と水産加工会社の正社員を希望し、求人情報を検索したが「正社員の求人はない」と肩を落としていた。
医療事務の資格取得を検討しているという同県東松島市の女性(41)は国の支援制度について同ハローワークに相談した。ただ地元では病院関係の求人は少なく、「資格を取っても就職できるか分からない。よく考えて決めたい」と悩む。
福島第1原子力発電所事故の影響が大きい福島県では、失業した人のほかに、会社に籍を残したままや復職予定のある「休業状態」の人も多い。福島労働局によると、こうした人で失業給付の特例を受けた人は震災以降、約8千人に上り、「原発問題の状況次第で、今後、失業する恐れのある人は多い」という。
一方、完全失業率が全国ベースと同じだった岩手県。岩手労働局は「今回調査できなかった沿岸部の就職状況は悪く、実態はもっと厳しいのではないか」としている。
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