インフルでの学級閉鎖日数、8割予防接種で3分の1 慶大など
小学校で全児童の約8割がインフルエンザの予防接種を受けると、学級閉鎖の日数がほとんど受けない場合に比べて約3分の1の7日になるという研究結果を、けいゆう病院小児科の菅谷憲夫医師と慶応大医学部の研究グループがまとめた。論文が16日に米感染症学会の専門誌(電子版)に載る。
東京都内のある私立小学校に協力してもらい、1984年から2007年まで、インフルエンザワクチンの接種率と学級閉鎖の平均日数を調べた。
児童への集団接種が実施されていた84~87年(平均接種率96.5%)の学級閉鎖日数は平均1.3日、集団接種が中止されていた95~99年(同2.4%)は20.5日だった。これに対し任意接種となった2004~07年(同78.6%)では7日だった。接種率が高くなるほど、学級閉鎖の日数が短くなることがわかった。
児童への集団接種が、高齢者や乳児のインフルエンザによる死亡数を減らすという社会的効果はこれまでにもわかっていたが、児童全体としてみた場合の発症リスク低減につながるのかどうかは不明だった。
菅谷医師は「集団接種に戻る必要はないが、児童全体の60~70%がワクチンを接種すれば、児童から児童へインフルエンザが感染するのを防ぐのに役立つことは確かだ」と話している。