2019年6月26日(水)

電池を安く高容量に 電気自動車普及へ研究加速
5~10年先の実用化目指す

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2011/5/8付
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2020年ごろの電気自動車(EV)の本格的な普及をにらみ、充放電できる2次電池の研究開発が加速している。既存の電池はためられるエネルギーが小さく、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)に搭載しても走行距離は短い。企業や大学は5~10年先の実用化を目指してリチウムイオン電池の容量を倍増する研究に力を入れている。

■長距離運転に必須

2次電池の高容量化はEVの普及に必須。EVは高速運転になるほど空気抵抗が増えて電池の減り方が早まる。時速40キロで200キロの距離を走れても、時速100キロだと約120キロしか走れない。回生エネルギーを生かす工夫を施しても限度がある。高容量でないと高速道路を長距離運転するには心もとない。

日産とNECの合弁会社、オートモーティブエナジーサプライの電気自動車向けの電池

日産とNECの合弁会社、オートモーティブエナジーサプライの電気自動車向けの電池

また、PHVはガソリン車の装置も搭載するため、電池の大きさに制限がある。実用化しているリチウムイオン電池でも、1日の走行距離が約20キロの近距離向けPHVには対応できるが、1日の走行距離が60キロ以上の長距離向けPHVには不十分。次世代型が必要なわけだ。

電池は電極や電解液などに使う材料によって性能が決まる。次世代の正極材料として期待されるのが「固溶体系」「リチウム過剰系」などといわれるタイプの新材料だ。

マンガンなどをもとにした化合物分子からはリチウムイオンが2個動くため、容量が約2倍になる計算。三洋電機や日産自動車、産業技術総合研究所、東京大学など様々な研究機関が開発に取り組む。

正極と負極がともに高性能でなければ電池全体の性能は上がらない。固溶体系などの正極に対応する負極として注目されるのが、シリコンを主成分とする複合材料だ。シリコンは従来の黒鉛などよりも容量が大きい。うまく使いこなせれば容量は倍にもなるが、充電すると体積が4倍に膨れて壊れる原因となるため、実用化が難しい。

日立マクセルはシリコンを大きさが10ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の粒子にして分散することで、壊れるほどの力が生まれないようにすることに成功。携帯端末向け電池で実用化した。パナソニックなども手掛けており、ソニーなどのようにスズを主成分に使う動きもある。

次世代の有力な環境車と搭載電池
現状2015年ごろ2020年ごろ2030年ごろ
有力車種ハイブリッド車(HV)近距離向けプラグインハイブリッド車(PHV)長距離向けPHV1回充電で走行距離500キロの電気自動車(EV)
搭載する
電池
ニッケル水素電池既存の材料を使うリチウムイオン電池新材料で容量が約2倍のリチウムイオン電池容量が3倍以上の革新電池(金属空気電池や多価イオン電池など)

■寿命を延ばす

電解液も電極材料に合わせて改良が必要だ。電極材料が次世代型になると電池の電圧は5ボルト近くになる。だが、従来の電解液は4.2ボルト以上になると分解してしまい、利用できない。

そこでまず注目されるのがフッ素入りの電解液。ダイキン工業が2010年に実用化したフッ素入り電解液は4.7ボルトにも耐えられる。フッ素によって電池内の反応も安定するので、電池の寿命を3~5割延ばす効果も期待できるという。

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