検察再生、これからが正念場 根強い捜査現場の抵抗
「検察の在り方検討会議」の提言は、取り調べの録音・録画(可視化)の対象範囲を拡大するよう求める一方、特捜部の存続を認めるなど検察当局にとって穏当な内容となった。地に落ちた信頼の回復に向け、検察内部で自浄作用を発揮できるのか。提言は全面可視化について引き続き議論するよう求めたが、捜査現場の抵抗は強く、検察再生につながるか疑問が残る。
「捜査上の秘密」を金科玉条に、外部の介入を排してきた検察にとって、外部識者による検討会議は"黒船"に映る。メンバーには特捜捜査に極めて批判的な意見の持ち主もいる。
検察の最大の関心事は可視化の対象範囲。最高検は郵便不正事件の検証結果を踏まえ、3月から特捜事件の一部可視化をスタート。捜査現場では研修などの準備を進めていた。検察内では「録音・録画の範囲拡大は既定路線」(地検幹部)との見方が大勢で、今回の提言の穏当な表現に、安堵の表情を浮かべる。
一部委員や日弁連などが求める取り調べ全過程の可視化には、法務・検察当局の抵抗感がなお強い。提言は全面可視化についても刑事司法全体を検討する場での議論継続を求めたが、法改正などハードルは高い。
もう一つは、特捜部のあり方。提言は「自己完結する体制を改め『横からのチェック』体制を構築すべきだ」としたが、すでに最高検が再発防止策として導入した高検検事長の指揮や特捜係検事によるチェック体制を追認したにすぎない。
捜査現場では「事件関係者がなかなか呼び出しに応じてくれない」など不祥事の影響は今なお残る。強引な取り調べなどの批判を一人一人の検事が真摯に受け止め、独善・傲慢といわれた姿勢を改められるか。真価が問われるのはむしろこれからだ。