被害情報続々、確認進まず 仙台、200~300人遺体か

2011/3/12付
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海から押し寄せた巨大な津波が東北地方の街や集落を次々と襲った。自治体の災害対策本部には「津波で壊滅的被害の地区がある」などの情報が次々入るが、確認は進まず、担当者は「現地と満足に連絡が取れない」と悲鳴を上げた。地震発生直後から各地では火の手と煙が上がり、広がり続けた。

津波によるとみられる200~300人の遺体が見つかったとの情報がある仙台市若林区の荒浜地区。宮城県警仙台南署によると、同区などでは海から1~2キロメートルの内陸部まで津波が到達。同署幹部は「民家が集落ごとのみ込まれ、押し流された」。人的、物的被害は「到底、想像もつかない」と言葉をつまらせた。

若林区役所によると、荒浜地区は海岸沿いに集落や商店が立ち並び、約800世帯が暮らしているという。区役所では職員らが住民の安否確認に追われ、危機管理担当の男性職員(57)は「想定をはるかに超える地震で、なすすべもない」と声を震わせた。

同区役所などによると、11日午後10時半現在、多数の児童や近隣住民ら数百人が、地区内の荒浜小や、北隣の宮城野区の中野小で屋上に避難。老人ホームの屋上に取り残され救助を待っている人もおり、自衛隊員がヘリコプターで少人数ずつをピストン輸送した。

荒浜地区に近い仙台市立病院(同市若林区)には同日午後11時までに、約100人の負傷者が運び込まれた。うち死亡が確認されたのは5人で、重傷を負って入院している人は16人にのぼる。けがは全身打撲や頭蓋骨、骨盤の骨折などが多くみられるという。

宮城野区でも、約1万人が住む約4千世帯が冠水。ボートによる救助が続いているという。

県警によると、仙台市に押し寄せた津波は最大約10メートルに達したとみられ、同市内を南北に流れる名取川では、海から押し寄せた巨大な津波が川を逆流した。猛烈な勢いでおびただしい数の住宅や車をのみ込み、仙台空港(宮城県名取市)は完全に水没した。仙台市や名取市などの田園地帯にあっという間に広がり、平野部一帯が海の浅瀬のように覆い尽くされた。

濁流は速度を緩めずに多くの住宅をなぎ倒し、何台もの車を次々と巻き込む。海岸線から西に約1キロ離れた仙台空港にも到達し滑走路や駐機場が湖のように水没。孤立したターミナルビルの屋上に利用客らが避難した。

仙台市南部では広範囲にわたり火災が発生。夕暮れを迎えた平野部のあちこちから火の手が上がった。市内は停電のため飲食店やコンビニエンスストアなどの大半が閉店し、交通網もマヒ。夜になっても帰宅できない人々が宮城県庁や仙台市役所などに避難した。

零度に迫る寒さの中、サラリーマンや家族連れなど約200人が避難した同県庁では食堂を開放したが暖房がきかず、配布された毛布にくるまった人々は「このまま朝まで耐えられるのか」と不安そうに話していた。

宮城県内では、仙台市内のほかにも、津波の被害が広がっているもよう。県災害対策本部には「女川町の被害が大きい」「沿岸部の駐在所や気仙沼市にある県水産試験場の施設の一部が津波で流されたようだ」(県担当者)などの知らせが寄せられたが、詳細は不明。県警の担当者は「詳しい被害状況がわからない」と焦りの表情を見せた。

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