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「自転車シェア」を地域の足に 自治体の挑戦

運用・採算に課題

自治体などが自転車を貸し出し、住民らが共同で利用することで地域の足にする「コミュニティーサイクル」と呼ばれる試みが首都圏で広がっている。環境に優しいイメージに加え、自動車よりも気軽に動き回れる点が評価されている。海外の成功事例も後押しする。ただ運用や採算の面では課題も見えてきた。

「車で回るより便利ではるかに効率的だった」。さいたま市が大宮駅東口に設けたコミュニティーサイクル用の貸し出し拠点。営業回りに使ってみたというサラリーマンは振り返る。

駅前など5カ所

同市は9月25日~10月22日、日本自転車普及協会(東京・港)と実験した。JRさいたま新都心駅前、大宮盆栽美術館など5カ所の拠点に、計100台の自転車を用意した。利用は最初の1時間は無料とし、以後は1時間ごとに100円を取った。約400人が登録し、1日あたり平均50件程度の利用があった。

先駆けともいえるのが東京都世田谷区が運営する「がやリン」。桜新町、桜上水、経堂の各駅付近を拠点に約900台を貸し出している。うち約110台が電動アシスト式だ。同区内は京王線、小田急線、東急田園都市線が東西を貫く。だが各線を南北につなぐ交通手段が少なく、幹線道路は渋滞も多い。区は「南北交通を補完する足になっている」とみる。

通勤や通学で使うほか、仕事で使うケースも目立つという。仕事で借りたという自営業の女性(44)は「以前はバスやタクシーを使っていたが、渋滞の影響がない自転車の方が確実」と話す。

 首都圏に限らず、富山市、名古屋市、神戸市などにも広がっている。その背景にフランス・パリ市が07年に始めた「ヴェリブ」の成功がある。貸し出しから返却、支払いまでICカード1枚で済む。このシステムの便利さから、市民の足として定着した。

ヴェリブ方式を採り入れたのが、4月に実験を始めた千葉県柏市だ。大学が集まる柏の葉地区を中心に、6カ所の拠点を設置。いずれも無人式で、端末にICカードをかざすだけで手続きが済む。手軽さが受け、登録数は370人を超えた。

横浜市がみなとみらい21地区や関内などで来春始める実験も無人システムを想定している。市は300メートル間隔で貸し出し拠点を設置したい考えで、まず18カ所を定め、これ以上の拠点で運営できる事業者を募っている。200台以上を稼働させる方針だ。一帯は有数の観光地だが、ビジネス街でもあり、市は「仕事で使ってもらえるのではないか」と期待する。

運用や採算課題

多くの利点が見込めるものの課題も多い。1つは拠点間の台数調整だ。さいたま市の実験でも大宮駅など利用が多い拠点で台数が不足し、別の拠点からトラックで余った自転車を運ぶという皮肉な事態も生じた。

採算の問題もある。柏市は自転車を移動する手間を減らすために台数が足りない場所に返した人にはポイントを付与するなどの工夫を凝らし、コストを抑えている。それでも「利用が今の3~4倍にならないと利益が出ない」(交通政策課)。横浜市は「長い目で採算性を検証する必要がある」(都市交通課)と、実験に約3年間をかける。

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