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コメ食べて糖尿病予防を 「ぬか」に糖分解促す成分

何をたくさん食べるかで、特定の病気にかかりにくくなることはあるのだろうか。日本人が長く主食としてきたコメに糖尿病を防ぐ効果があることが最近の研究で分かってきた。「ぬか」成分に秘訣があるという。

米ぬかに含まれる有用成分が解明されてきた

玄米をついたときにできるぬかは、コメの外皮や芽のもとになる胚(はい)が砕けた粉だ。ビタミンなどを多く含み、ぬか漬けの床をこねると手の肌がスベスベになることが経験的に知られる。

米ぬかにはアレルギーや炎症を抑えたり、糖尿病を予防したりする働きがあることも動物実験で裏づけられた。

東京大学農学生命科学研究科の尾崎博教授と潮秀樹准教授(東京海洋大客員准教授)らは米ぬかに多く含まれる脂質の一種「ガンマオリザノール」に注目。マウスに与えると、免疫物質とくっついてアトピー性皮膚炎を防いだり、糖や脂肪の分解を促す「アディポネクチン」というたんぱく質の分泌を強めて糖尿病を予防したりすることが分かった。

潮准教授はこの成果を、日本人によく見られる遺伝子タイプと関連づけ、「近年のコメ離れが糖尿病や肥満の増加に拍車を掛けているのではないか」と推測する。

日本人はアディポネクチンをつくる遺伝子に欠陥をもつ比率が高く、もともと糖尿病になりやすいとされる。「長年、コメを主食とすることでアディポネクチンの不足を補い、遺伝子の欠陥がそのまま受け継がれてきた。この体質は変わらないのにコメを食べる量が減ったので、糖尿病になりやすくなった」と潮准教授はみる。

ぬか成分は玄米食でも取れるが、より多く含まれるのが米ぬか油だ。

米ぬか油はかつて食用油としておなじみだったが、1968年の「カネミ油症事件」で需要が一気にしぼんだ。製造工程で有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)が混ざり、全国で1万人以上が健康被害を訴えた事件だ。その後、食用油は大豆油や菜種油などに取って代わられた。

「悪者はPCBで、こめ油自体の問題ではなかったのに、イメージが回復しない」と尾崎教授らは残念がる。

コメの消費が減っているとはいえ、日本では毎年約100万トンの米ぬか生産量がある。尾崎教授によると、うち50万トンは業務用の油などに使われるが、残り50万トンは廃棄物としてそのまま捨てられている。

「米ぬか油が復権すれば、糖尿病の予防と資源の有効利用の一石二鳥になるのだが、よい方法はないか」と研究チームは思案している。

(編集委員 久保田啓介)

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