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似ているようで違う日本の3大SNS

ブロガー 藤代裕之

「mixi」はゲームを中心とした他社のサービスと異なり、会員同士のコミュニティーが中心

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を商品のキャンペーンやタイアップに利用する企業が増えてきた。日清食品は2009年末、カップめん「どん兵衛」のキャンペーンのため、ミクシィが運営している「mixi」向けに除夜の鐘を鳴らすゲームを提供した。フジテレビジョンはドラマ「絶対零度」のPRのため、ディー・エヌ・エー(DeNA)の「モバゲータウン(モバゲー)」のゲームとタイアップした。

ブログサービスとの違いは、ブロガーが文章で商品やイベントなどを紹介することで消費行動に結び付けるのに対し、SNSでは消費者にゲームなどで楽しんでもらうことでより強くアピールできる点だろう。音楽のダウンロードや商品のショッピングなどに広がる事例もある。さらにSNSの特性上、ブログサービスよりも会員同士のつながりから新たなコミュニケーションが生まれやすく、それが新たなビジネスに発展する可能性も大きい。

ただしブログと同様に、SNSも各サービスで会員特性は異なる。SNSを使ったマーケティングや販売促進に取り組むなら、伝えたいメッセージやターゲットに合わせてSNSを選択したい。今回は国内で最も利用者が多いmixiとモバゲー、グリーが運営する「GREE」を取り上げ、特徴を比較してみたい。

「mixi」-人と人とのつながり重視、リアルな世界にも広がり

mixiは画面を暖色系にするなど「ゆるやかな」雰囲気が特徴。パソコン中心で「日記」と「コミュニティ」が主要コンテンツであったこともあり、20代の女性を中心に人気が出た。2008年12月まで18歳未満の利用が禁止されていたこともあり10代は少ない。会員数は10年3月末時点で1985万人。うち7割にあたる1386万人は1カ月に1回以上ログインしており、活動的な会員が多いことがわかる。

最近はSNS各社がゲームを前面に出したテレビCMで会員獲得を強化しているが、ミクシィが今春に流したCMは歌手の松任谷由実さんの曲をバックに高校を卒業した女性がmixiで交流するというイメージ重視のものだった。ミクシィの笠原健治社長は、今年6月に開催されたベンチャー関連のイベント「Infinity Ventures Summit(IVS)」で「われわれの定義では日本でSNSはうちだけ」と発言し、一部のネットユーザーの間で話題になった。これは人と人とのつながりを中心に据え、ゲームを中心としたコンテンツを展開するグリー、DeNAとの違いを意識しているからだ。

日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)とmixiは、住所を知らないmixiユーザーにも年賀状を送ることができる「ミクシィ年賀状」と呼ぶサービスを展開している。その発行枚数は09年が70万枚、10年は100万枚に達したという。リアルな世界と区別して語られがちなネットの世界だが、mixiは人と人とのつながりを重視しており、リアルな世界とも容易に連携しそうだ。現在、「mixiアプリ」と呼ばれる外部連携機能の強化を進めており、新たなサービス展開を狙っている。10年1~3月期の売上高は約39億円で、バナーなどの広告が中心だ。

3大サービス会社の会員特性を比較
サービス名(運営会社) 会員数     年齢構成月間ページビュー
mixi(ミクシィ)1985万人20代52%、30代27%、40代8%333億
GREE(グリー)1843万人20代35%、30代26%、40代以上17%259億
モバゲータウン(ディー・エヌ・エー)1813万人20代42%、30代30%、10代28%616億

会員数などは2010年3月時点、各社の有価証券報告書などから作成

「モバゲータウン」-ソーシャルゲームのサービスで急成長

ディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」は若者向けにターゲットを絞る

モバゲーは、携帯向けサービスとして06年にスタートした。mixiやGREEから2年遅れだったが、半年で会員数が100万人を突破した。当初は10代の利用が半数を超えていたが、07年から始めたテレビCMを20代以上に訴求したことで、20代が増えた。CMには「モバゆび」と呼ばれるキャラクターのほか、お笑いタレントのよゐこや女優の広末涼子さんらを起用し、他のSNSに比べて全体的に若い会員が多い。

コンテンツは無料のゲームから始まり、ニュースや天気予報などに拡大した。最近は「携帯小説」やイラストなどの投稿系から、会員がネット経由で遊べる「ソーシャルゲーム」へと変わってきている。特にモバゲーの急伸は、自社開発したソーシャルゲームがヒットしたことが要因といわれる。例えば、会員同士で仲間をつくって宝を世界から集める「怪盗ロワイヤル」や、自分の星を育て文明を発展させていく「ホシツク」などが知られる。これらのゲームはmixiにも提供されている。DeNAは10年1~3月期にソーシャルゲーム関連だけで約100億円を売り上げた。

「GREE」-当初はビジネス系、携帯向けとゲームで躍進

ビジネス色が強かった「GREE」もソーシャルゲームで若者向けにシフト

GREEは04年、当時まだ楽天に勤務していた田中良和社長が個人ビジネスとしてサービスを立ち上げ、わずか8カ月で会員数が10万人を突破した。当初はネット系企業やベンチャー企業に勤務する会員が交流のために活用するなどビジネス色が強く、他社に比べて会員の年齢層は高かった。mixiの会員数が500万人を突破したころ、GREEはまだ30万人に過ぎなかった。

それが06年にKDDIから出資を受けて携帯向けサービスを強化するとともに、ゲームに大きく舵を切った結果、現在は会員数でmixiと肩を並べるまでに成長した。08年5月からテレビCMを始めると、2年間で会員数は4倍弱に急増した。CMではお笑いコンビのナインティナインが「釣りゲーム」を、タレントのベッキーさんが「パズルゲーム」を紹介するなど、若者向けを意識している。

グリーの10年1~3月期の売上高は92億円で、経常利益は約52億円。自社開発のソーシャルゲームを利用する会員向けに、「アバター」と呼ばれる会員自身のキャラクターが着る服や小物、釣りゲームの釣竿といった有料のアイテムを販売し、これが主な収入となっている。

◇      ◇

ブログサービスに比べると、SNSは企業にとってまだ関心が低いかもしれない。しかし急激に会員数が伸びており、単なるバナー広告やタイアップだけでなく、ソーシャルゲームや新しいアプリケーションなどを利用したSNSらしいサービスとの連携も増えていくだろう。今後はさらに企業の注目を集めそうだ。

藤代裕之(ふじしろ・ひろゆき)
ジャーナリスト・ブロガー。1973年徳島県生まれ、立教大学21世紀社会デザイン研究科修了。徳島新聞記者などを経て、ネット企業で新サービス立ち上げや研究開発支援を行う。学習院大学非常勤講師。2004年からブログ「ガ島通信」(http://d.hatena.ne.jp/gatonews/)を執筆、日本のアルファブロガーの1人として知られる。

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