2019年9月23日(月)

2010年度の実質成長率は2.5% 11年度は1.8% NEEDS予測
子ども手当満額支給断念など織り込む

2010/6/18付
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日本経済新聞デジタルメディアの総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、6月10日に内閣府が公表した2010年1~3月期の国内総生産(GDP)2次速報、菅直人首相が表明した子ども手当の満額支給断念などの情報を織り込んで予測したところ、10年度の実質成長率は2.5%、11年度は1.8%の見通しとなった。

10年度見通しは5月20日に公表したGDP1次速報後の予測から0.3ポイント上方修正。GDP2次速報、足元の輸出の強さなどを反映した。ただし、四半期ごとの成長率が夏場以降減速するという従来のシナリオは変えていない。

11年度については、子ども手当が満額支給されるという従来の前提を、10年度と同額据え置きへと変更した結果、0.2ポイントの下方修正となった。民主党は6月17日夕刻に発表した参院選マニフェスト(政権公約)において財政規律重視にかじを切ったが、具体的な政策は参院選の結果次第である。消費税率引き上げなど今後の政策次第では成長率見通しにさらに影響が出てこよう。

設備投資の底入れが明確に

6月10日に公表された2010年1~3月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比1.2%(年率換算で5.0%)と4四半期連続のプラス成長。1次速報よりも年率換算で0.1ポイントの上方修正となった。民間調査機関の事前予測では、前期比プラスであった民間企業設備投資がマイナスに転じるとの見方もあったが、ふたを開ければ若干の下方修正(1次速報:前期比1.0%増→2次速報:同0.6%増)、2四半期連続のプラスを維持した。6月9日に公表された機械受注統計においても設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需は増加を続けており、設備投資の底入れは明確となってきた。これらを受け、10年度の設備投資成長率を若干上方修正した。7月1日に公表予定の6月の企業短期経済観測調査(短観)で、設備投資計画がどれだけ上方修正されるか、注目したい。

輸出は10年度入り後も強さを見せるが…

景気の第1エンジンである輸出は10年度入り後も力強い伸びを維持している。4月の輸出数量指数は前年比39.5%増と3月の同43.9%増に比べて若干の伸び鈍化にとどまった。 また、すでに公表されている5月上中旬分の通関輸出金額は前年比36.3%増で、4月上中旬の41.4%増から緩やかな減速にとどまっている。ただ、前回予測で注目したOECD景気先行指数は伸びが鈍化しつつあり、日本の重要な輸出先である中国の指数は低下が続いている。以上から足元(4~6月期)の輸出見通しを若干上方修正、それ以降の減速シナリオは維持した結果、10年度全体では輸出の伸び率が若干の上方修正となった。

このほか、GDP2次速報の結果を織り込み、個人消費を上方修正している。

子ども手当の満額支給断念で11年度成長率0.2ポイント低下

6月8日に就任した菅首相は、子ども手当の満額支給断念を早くも表明している。17日夕刻に公表された参院選マニフェストでも、子ども手当は「財源を確保しつつ、1万3000円から上積みします」という表現にとどめている。これを受け、本予測の前提も、11年度の子ども手当支給額を10年度と同額に変更した。これにより、従来の見通しに比べ、家計の可処分所得が3兆円弱減少、11年度成長率見通しは0.2ポイント下方修正した。

もちろん、子ども手当で使う予定であった財源が保育所建設など他の支出に振り向けられ、成長率を押し上げる可能性もある(注)。民主党の参院選マニフェストでは、法人税率引き下げも掲げられているが、これが企業活動の活性化につながることも考えられよう。

一方、財政規律重視にかじを切ったように見受けられる菅新政権が、子ども手当の満額支給断念で浮いた財源をそのまま支出するかどうかは不透明である。参院選マニフェストで税制抜本改革の時期について従来の「衆院選後」の記述を削除した。今後の政策の方向性を注視したい。

(注)6月14日付け日本経済新聞朝刊3面に紹介されたNEEDS日本経済モデルのシミュレーション結果によれば、子ども手当に使う予定であった2.7兆円が公共投資に振り向けられると11年度の成長率を0.38ポイント高まる一方で、そのまま現金で子ども手当が支給されると0.17ポイントの押し上げにとどまる。

(日本経済新聞デジタルメディア 飯塚信夫、堀口亜希子)

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