2019年6月25日(火)

夏の菓子 一口俳句講座 白玉

2010/6/5 7:01
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◇     ◇

(たかだ・まさこ)1959年岐阜県生まれ。東京大文学部卒。主婦で2女の母。俳句結社「藍生」所属

(たかだ・まさこ)1959年岐阜県生まれ。東京大文学部卒。主婦で2女の母。俳句結社「藍生」所属

6月5日付夕刊でご紹介した句の季語は「白玉」です。白玉は、白玉ぜんざいや白玉あんみつなど甘味処の定番として、今では季節を問わず食べられますが、もともとは夏向きの、冷やして口当たりをよくして食べる菓子として考案されたものでしょう。俳句では〈夏〉の季語となっています。つややかで目にも涼しげです。

この涼しげというのが、夏の季語となっている菓子類の特長です。

「心太(ところてん)」「葛切(くずきり)」「水羊羹(みずようかん)」「蜜豆(みつまめ)」、……透明な皮の中に餡が透けて見える「葛饅頭(くずまんじゅう)」というのもあります。すべて夏の季語です。

 ところてん煙のごとく沈みをり          日野草城

 葛切に淡き交り重ねたる            後藤比奈夫

 青年は膝を崩さず水羊羹            川崎展宏

 蜜豆をたべるでもなくよく話す          高浜虚子

 葛ざくら濡れ葉に氷残りけり          渡辺水巴   葛ざくら=葛饅頭

子どもたちの大好きな「アイスクリーム」「かき氷」など、きーんと冷たい菓子類も、夏の季語です。

 アイスクリームおいしくポプラうつくしく     京極杞陽

 匙(さじ)なめて童たのしも夏氷         山口誓子

今では郷愁を誘う語となった「ラムネ」「ソーダ水」など、冷たい飲み物類も同様です。

 一生の楽しきころのソーダ水          富安風生

 ラムネのむ泡くちびるをはじくなり        篠原 梵

ちなみに菓子類ではありませんが、「ビール」「冷し酒」「麦茶」なども夏の季語となっています。

 人もわれもその夜さびしきビールかな     鈴木真砂女

 青笹の一片沈む冷し酒             綾部仁喜

 どちらかと言へば麦茶の有難く         稲畑汀子

また意外なところでは「甘酒」が夏の季語です。今では冬に飲むことのほうが多そうですが、江戸時代には暑気払いとして町中を売り歩いた甘酒売がいたそうです。歳時記の中にその名残があるとは、面白いことです。

 甘酒啜(すす)る一時代をば過去となし    原子公平

(高田 正子)

「初めての俳句・短歌」では、日本経済新聞土曜夕刊の連載「耳を澄まして あの歌この句」(社会面)に連動して、毎回、季節に合った写真に短歌や俳句を添えます。歌人の大辻隆弘さんと、俳人の高田正子さんが歌や句の背景、技法についてわかりやすく解説します。

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