栃木のプロバスケ、リーグ制覇の影に地域密着

2010/5/3付
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栃木県を地盤にするプロバスケットボールチーム「リンク栃木ブレックス」が日本リーグ優勝に輝いた。地域密着をめざすプロチームの同リーグ制覇は初めて。スター選手の存在や劇的な試合展開が注目されるが、その陰で地域に溶け込むための地道な取り組みを積み重ねてきた。

「ユーター、次も頼むぞ!」「タクヤー、優勝を決めたシュートしびれたぞ!」――。4月17日の優勝パレード。普段は人通りの少ない宇都宮の中心市街地に、元NBAプレーヤーの田臥勇太選手やリーグ得点王の川村卓也選手らを一目見ようと1万人が押し寄せた。

もともと他の地域と比べて特にバスケットが盛んだったわけではない。県内スポーツに活気を呼ぼうと、2004年ごろから有志が署名活動を開始。06年に運営会社が設立された。

様々な屈折を経て日本リーグに昇格したのは2年前。その前年、リクルートやコンサルタント会社でチーム経営を学んだ山谷拓志氏を運営会社の社長に迎え入れた。バスケットの名門、能代工業高校(秋田県)の元監督をヘッドコーチに招へい、田臥選手を獲得した。

「勝敗には不確定要素がつきまとう。コートの外でのサービスならば(ファンや企業を満足させるだけの)品質を保証できる」。山谷社長はこう考える。

例えば鬼怒川温泉のあさやホテル(日光市)とは選手のサイン入りボールなどを抽選で贈る宿泊プランを企画した。プロスポーツへのなじみが薄い土地だけに、企業側もチームの「利用法」は手探りだったが、「選手がブログに温泉の感想を書き込んでくれ、ファンの宿泊が増えた」(あさやホテル販売促進課)。明治製菓と組んで、プレゼント付き菓子を企画すると、売り上げは従来の8倍に伸びた。

「チームや選手の知名度が上がれば媒体としての価値も増す」(山谷社長)。地域との接点づくりもその一環だ。選手らが先生役を務めるバスケ教室は500回を突破。試合を盛り上げるチアリーダー「ブレクシー」やマスコット「ブレッキー」も交え、地域の催しにも積極的に参加する。

こうした取り組みが受け入れられた。宇都宮市は体育館の命名権を無償で付与し、愛称を「ブレックスアリーナ宇都宮」とした。

運営会社の業績も改善した。入場料収入の増加から、09年12月期(決算期変更のため9カ月)は最終損益が初めて黒字になった。

山谷社長の次の構想は独立採算の2軍「D-TEAM」。県南を拠点に群馬、茨城両県まで開拓。若手に注目するファンや独自スポンサーの獲得も狙う。選手が試合経験を積む機会も増す。布石を打ちつつ、挑戦は続く。(宇都宮支局 河野俊)

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