ロシア、穀物輸出を一時禁止 米市場で小麦価格上昇
【モスクワ=金子夏樹】ロシア政府は5日、小麦など穀物の輸出を一時禁止することを決定した。記録的な猛暑と少雨による干ばつ被害が拡大し、穀物生産が落ち込んでいることに対応する。期間は今月15日から12月末まで。これを受けて米シカゴ商品取引所の小麦先物相場は5日朝、値幅制限いっぱいのストップ高まで上昇した。ロシアの小麦の世界輸出シェアは約1割で、今後世界の食品価格の上げ圧力が強まる可能性がある。
プーチン首相は5日、政府会合を開き「熱波と干ばつの影響が出ており、穀物の輸出禁止措置が妥当だ」と発言。輸出を禁止する政令に署名した。生産減に伴う国内価格の上昇を防ぐための措置という。
輸出の禁止の対象となったのは小麦のほか大麦、ライ麦、トウモロコシなど。ロシアからの輸入の多いエジプトなど中近東諸国にまず影響が及びそうだ。
ロシアでは中部や南部の穀倉地帯を中心に干ばつが広がり、政府はすでに非常事態を宣言した。今穀物年度(2010年7月~11年6月)の予想穀物収穫高を昨年度比26%減の約7000万トンに引き下げていた。政府は当初、今年度の輸出量を昨年度並みの2150万トンと想定していたが、計画見直しを迫られた。