2019年8月22日(木)

クルーグマン教授「50%以上の確率で景気後退」

2011/10/5付
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ポール・クルーグマン・プリンストン大学教授は、都内で日本経済新聞記者に「今後、世界は50%以上の確率で景気後退に陥るだろう」と語った。欧州の金融不安連鎖を最大のリスク要因に挙げた。米国はオバマ政権が財政政策に動きにくいと指摘し、米連邦準備理事会(FRB)が物価水準目標やインフレ目標を設け一層の金融緩和に乗り出すことを求めた。

■新興国は成長

クルーグマン氏は「米欧の景気は後退しそうだが、新興国は減速してもなお成長し続けるので、世界全体で見れば緩やかな後退にとどまる」との認識を示した。

欧州については「スペインやイタリアを含め、経済規模でユーロ圏全体の3分の1が危険に直面している」と述べた。「ギリシャはデフォルト(債務不履行)が避けられない」としたうえで、銀行破綻の連鎖を防ぐには「(中央銀行が緊急資金を供給する)『最後の貸し手』の機能が重要」と強調。「欧州中央銀行(ECB)は十分にその役割を果たしていない」と批判した。

欧州金融安定基金(EFSF)については「元々が小国を救済する仕組みであり、イタリアなどが問題になっている現状では思い切った与信枠拡大が必要」と指摘した。

欧州が直面する経済問題には「成長と2~3%のインフレが有益」と指摘し、緊縮財政が一層の景気悪化を招かないよう求めた。金融緩和の必要性を訴えたうえで、今年に入ってからのECBの利上げは「2000年の日銀によるゼロ金利解除の失敗をなぞるもの」と批判した。

米国は「金融危機のただなかにあった1998年の日本のようなもの」と語り、財政、金融両面からの追加的なテコ入れが大切と強調した。「オバマ政権が唱えた4500億ドルの雇用創出策は規模が小さいくらいだが、政治的に実現は難しい」と悲観的な見方を示した。

■一層の緩和策を

金融政策については「FRBが(一定の物価水準になるまで緩和を続ける)物価水準目標か、(物価上昇率を示す)インフレ目標を掲げて、積極的に緩和する必要がある」と提案した。

米欧で経済が長期停滞に陥る「日本化」が懸念されている点に関しては、「10年前から、プリンストン大教授時代のバーナンキ氏らとともに、日本化の問題を恐れていた」と明かした。

それでも米経済が停滞色を強めている要因として、「バブル崩壊の規模とショックが想像していたよりはるかに大きく、それに比べれば政策対応が小さかった」ことを挙げた。90年代に米国の識者が日本になすべき課題をあげつらったことについては、「謝るべきかもしれない」と述べた。

今の日本については「デフレから脱却できずにいることから、(名目金利から物価変動率を引いた)実質金利が高くなっている」と指摘。米国がゼロ金利政策をとるようになったなかで、実質金利の高い円に上昇圧力がかかりやすくなっていると語った。

1974年エール大卒、77年マサチューセッツ工科大で博士号取得。82~83年レーガン政権下で経済諮問委員会の委員を務める。2000年プリンストン大教授、05年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授を兼務。08年ノーベル経済学賞受賞。専門は国際経済学。58歳

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