[FT]トルコ首相には寛容さが必要(社説)

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2013/6/4 14:45
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(2013年6月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

イスタンブール中心部の公園の再開発計画に反対する数百人のデモが、数時間後には町全体を揺るがし、山火事のように国全体に急拡大する様子は、トルコのエルドアン首相について多くを物語っている。

きっかけはイスタンブール中心部のタクシム広場付近でのデモに機動隊が過剰反応したことだった。だが、首相が強権志向を強める行動を取っていなければ、デモは全国に拡大しなかっただろう。エルドアン氏はこの点について反省しなくてはならない。

それどころか、穏健なイスラム主義者とされる首相はありもしない陰謀を非難し、ミニブログ「ツイッター」を「デモ隊」の手先であるかのように批判。「過激派」が混乱を先導していると主張し、その背後にいる「外国勢力」を見つけ出すよう情報機関に指示している。今回の突然の民衆デモには誰もが驚いたが、予兆がなかったわけではない。

■抜け切れない野党体質

エルドアン氏は選挙で勝ち目のない野党勢力が不当な手段で同氏の退陣を企てていると主張している。エルドアン氏が率いる公正発展党(AKP)は2002年に政権に就いた。AKPは総選挙で3回連続勝利を収め、得票率も次第に高まっている。建国の父であるケマル・アタチュルクの流れを組む野党勢力の大半は、トルコの支配権は自らにあるように振る舞い、AKPを成り上がり者として扱っている。

実際、野党側は軍や司法機関を利用してエルドアン氏の退陣を画策してきた。だが、これらはいずれも失敗。07年の総選挙でエルドアン氏が圧倒的勝利を収めて以降、軍は力を失い、幹部のほぼ8人に1人が収監されている。もっとも、闘争がまだ続いているかのように振る舞っているのは首相自身だ。

エルドアン氏は07年の時点では国民を信頼していた。だが、11年に再選を果たして以降、異なる意見に対する寛容さを失った代わりに、あくなき野心を示すようになった。しかも野党体質が抜けきれず対決姿勢を取ってしまうため、国全体をまとめるリーダーになりきれていない。首相就任から10年を経て、今や絶対的ともいえる権力を握って孤立している。一方、世俗派の野党勢力は選挙で勝つ見込みがない。こうした2つの要因が絡み合い民衆デモが発生した。

トルコ政府の環境への影響を無視した強引な開発手法や、「宗教の戒律」に触れてお酒の販売を制限したり、中絶の権利を抑制したりするエルドアン氏の私生活への介入に、都市部の市民は憤りを感じてきた。

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